プランターの土は使い捨てではありません。古い土も適切に改良すれば何度でも栽培に使えます。農家が畑の土を手入れするのと同じ道理です。
土の質は落ちてくる
はじめは質の良い土でも、何度も使っていれば質が落ちてきます。植物を育てた土の中は根が張り、土がかたくなり、水はけや通気性が悪くなります。養分も少なくなってきます。
そして、土も酸性化して生育が悪くなります。雨が多い日本の気候条件ではほとんどの土が酸性になると言います。土の中にしみ込んだ雨が、土の中のカルシウムやマグネシウムなどのようなアルカリ性のミネラルを地下に流てしまうからです。雨のほかには、肥料(特にチッソ肥料)のやり過ぎも土を酸性にする要因のようです。
質の落ちた土でも、古い土も適切に改良すれば何度でも使いまわすことができます。質が落ちたどころか、病害虫が発生した土でも再利用できます。
日光消毒をする
堆肥などを混ぜて新しい土づくりを行う前に、まずは、病害虫が発生した場合においての、日光消毒をする方法から説明します。
と言っても、透明なポリ袋に土を入れて直射日光に当てるだけです。太陽熱を利用して病害虫を死滅させるという方法です。温度の高い夏に行えばより効果的になります。
土と根と鉢底石に分ける
トマト栽培をしたプランター。土を乾燥させておいて、茎の下のほうから剪定ばさみで切る。
しっかりと根が張って、土と根が固まりとなっているので、移植ゴテで崩す。
ふるいを使って、根と土を分ける。
根の塊は土を落として、取り除く。
鉢底石も分けておく。
細かい根は、残っていても気にしない。土中で堆肥化される。
根と鉢底石を除いた土を透明なポリ袋に入れる。
ふるいを使って土と根と鉢底石に分けた。
太陽熱を当て日光消毒する
土を平らにのばし口を閉じて、コンクリートの上におき、2~3日間、直射日光を当てる。
余裕があれば、1~2日、風通しのよい場所で、シートの上に土をまけて薄く平らにして乾かします。土の中に新鮮な空気を通すことで、嫌気性の有害バクテリアを減らす効果が期待できるからです。
新しい土づくりをする
古い土に、堆肥や肥料、有機石灰を混ぜて新しい土づくりを行います。土をフカフカにし水はけや通気性を良くし、栄養分を補給し、酸性化した土を弱酸性に戻す作業です。
堆肥は、牛ふんや落ち葉、藁、もみ殻などの有機物を発酵させたもので、土をフカフカにする土壌改良の効果があります。動物性堆肥には牛ふん堆肥や鶏ふん堆肥、植物性堆肥にはバーク堆肥や腐葉土などがあります。未熟な堆肥だと悪臭がしたり病害虫発生の原因にもなります。完熟の堆肥を仕入れたい。買ったものが未熟だった場合、土と混ぜて2~3週間放置して完熟させてから使うようにします。
堆肥は、化学肥料が一般的になってきたのにともない、これまで土壌改良材として使われてきましたが、肥料としても見直され積極的に使われれるようになってきています。例えば、堆肥の割合を多くして肥料を少なくするという具合にです。
今回は、肥料として化学肥料ではなく発酵油かすを使いました。次に何を植えるかなども踏まえて肥料を考えます。
一般的な植物は弱酸性を好みます。酸性に傾いた土を弱酸性にするために苦土石灰もよく使われますが、すぐに植え付けができません。今回使う有機石灰ならすぐに植え付けが可能です。
新しい土づくりの仕方
ポリ袋に入った古土を、シートの上に広げる。
バーク堆肥を混ぜる。古土に対して2割入れて、フカフカの土にする。
古土とバーク堆肥を良く混ぜ合わせる。
肥料として発酵油かすを混ぜて、栄養補給する。
有機石灰を混ぜて土を弱酸性にする。
良く混ぜ合わせる。これで土づくりは完了。
葉大根を植える
新しい土づくりは完了したので、これで、次の作物づくりができます。弱酸性にするために苦土石灰を使った場合は、すぐに植え付けができませんが、有機石灰ならすぐに植え付けが可能です。
プランターに鉢底石を入れて土を入れる。これで次の植え付けが可能。
春からトマトを栽培したプランターで、秋からは葉大根を植えました。一つのプランターでも古い土を改良することで、2回転させることができます。