田舎で在宅テレワークをやってみる。

公開日:2019年8月1日 更新日:

田舎の在宅勤務でテレワークする。

情報通信技術が発達し、仕事の内容によっては、どこにいても仕事ができるようになりました。

田舎で在宅テレワークを実践

日本一の限界集落と言ってもいいところにおいて、私はテレワークをしています。東京でしていた仕事の延長線上でです。やっていることもさほど変わりません。もともと、東京で仕事をしているときから、自分のやっていることの内容はどこにいてもできる、と思っていました。

そして、どこにいてもできるように仕組みも作ってきました。どこででもできるなら、ゴミゴミしたところにいるよりも、気分のいいところでやったほうが仕事がはかどる(はず)。

月に1回ほどは打ち合わせなどで東京に行っていますが、だいたい在宅で仕事をしています。朝目覚まし時計で起きなくても鳥のさえずりで目が覚める、空気はきれい、 通勤時間はない、虫の声か川のせせらぎぐらいしか聞こえてこず静かで集中できる、夜は遊びに行くところもないのでさっさと寝て熟睡、悪いところはどこにも見当たりません。

と言いたいところですが、社会の喧騒から離れ、あまり刺激がないので、しっかりと自己管理ができないともろくも崩れさってしまいそうな緊張感もはらんでいます。

私の場合、在宅勤務する雇用型テレワークではありませんが、自営型テレワークを発展させたような形で仕事をしています。

勤めている会社の仕事を自宅でできないか

さて、すでにやることが決まっていれば別ですが、田舎に行くことが既定路線で、何か仕事をしなければならない状況であるとした場合、勤めている会社でのテレワークは考えられないでしょうか。

テレワークとは、勤労形態の一種で、情報通信技術を活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態をいいます。「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語です。就業形態の違いによって、雇用型テレワークと自営型テレワークに大別できるようです。

田舎へ行くからと言って、これまでの仕事と縁を切って、まったく違うことをしなければならなという法はありません。せっかくこれまで培ってきたことを捨ててしまうのももったいないことです。培ってきたものは、いわば資産です。

その資産を活かすことができるならば、会社にしてもメリットになります。その資産をみすみす逃すのももったいないことです。田舎での仕事を考えた場合、新たに就職口を探すよりも不安もありません。

もちろん、テレワークという勤務形態があるところはあまりにも少ないでしょうし、職種は限られるかもしれません。が、はたして、自分のやっていることは、わざわざ会社に出ていって、そこでする必要があるのか、と改めて問うてみるのも悪くないです。

会社を説得できる可能性だって0%ではないはずです。それを言い出す前に日ごろの行いが左右するとは思いますが、どうしてもいてもらいたい社員には最大限の融通をつけてくれる可能性だってあります。

情報技術にはそれほど問題はない

情報技術の発達でテレワークが簡単になってきたわけなので、情報の伝達や共有については技術で何とかできそうです。

実際、私たちは、ドロップボックスというオンラインストレージサービスを利用しています。クラウド上にあるオンラインストレージとローカルにある複数のコンピュータとの間でデータの共有や同期を可能とするサービスです。

テレワークの実現を可能にするクラウドサービス。

クラウドのサービスを利用すれば、事務所のPCも、各自の自宅にあるPCでも情報共有と同期が可能になります。PCが一つ壊れても焦る必要もありません。

もちろんこうしたサービスも完全に信用はできませんが、自分たちのローカルでやるよりもいいでしょうし、バックアップも考えておけば安全性も高まります。

これまでバックアップというと、該当ファイルをコピーして、外付けハードディスクなどに貼り付けてみたいなことをやったりしていたが、面倒くさいし、いつのまにかやらなくなっていたりします。バックアップの重要さはわかっていても、簡単にというものには出合えていなかったわけです。

しかし、たとえば、グーグルドライブは、コピペする必要もなく、ローカルPC上にある該当ファイルを指定するだけで、接続すれば同期してくれます。常時接続してしまうと、間違ったことをした場合にも、すぐに反映されてしまうので、一定の間隔で接続すればバックアップの機能を十分果たしてくれるようにできます。

ともあれ、規模の大小はありますが、情報の伝達や共有については技術で何とかなりそうです。一つの拠点で情報を集中させるよりも、リスクヘッジになるのもすごいところです。

雇用型テレワークの難しいところ

雇用型テレワークの場合、問題が生じるとすれば、それは技術的問題よりも、成果が本当に出せるのかといった問題だと思います。それと、疑心暗鬼というきわめて人間的なものの感じがします。

成果に焦点を当てると、成果が測りやすい営業系や定型業務、制作業務のようなものだけがテレワークに向いていて、測りにくいものはテレワークに向かないということになってしまいます。これは、古くて新しい評価という難問です。測りにくいものをテレワークにすると、本当に仕事をしているのかと疑心暗鬼になる → とりあえず管理を強化 → ぎくしゃく → 崩壊、という悪循環になるかもしれません。

経営者の役割の一つは、社員が仕事しやすい環境を整えてやること、と言われます。たしかに、その通りだと思います。それは、裏を返せば、社員の自己管理能力を完全に信じてないとも言えます(完全に疑ってもないでしょうが)。環境を整えてやらないと力を発揮しないだろう、と。

環境を整えてもらわないと力を発揮しない、自己管理能力のない社員が、自宅で仕事できるわけ? というのがテレワークに積極的でない経営者の本当のところかもしれません。

もっとも、テレワークを導入しようという企業は、それによって成果を求めているのではなく、テレワークのような勤労形態の自由度を認めないと、いい人材がいなくなってしまう、採用できないという危機感を持っているからなのかもしれません。

はたまた、東京オリンピックのようなイベントの時、周辺の交通渋滞が心配されるので、テレワークによって緩和しようという、行政の要請に表向き協力しているだけなのかもしれません。そうであれば、それほど成果にこだわらないかもしれません。

それでも長期的には成果を求めざるを得ない状況になる。なぜなら、労働生産性が低いのを見過ごすわけにはいかないからです。

2017年の日本の1時間当たりの労働生産性は47.5ドルで、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の中では20位と下位に甘んじています。さらに、この水準はアメリカの72.0ドルの3分の2程度にすぎず、データが取得可能な1970年以降、先進7カ国の中で最下位の状況が続いています。

労働生産性の向上には、やる仕事はないけど雰囲気で残業してしまうみたいな環境依存型の社員ではなく、自己管理能力がある自立した社員が増えていくこと抜きには考えられません。

ここに、自立した社員による、雇用型テレワーカーの入り込む余地があるような気がします。

雇用型テレワークから自営型テレワークへ

自立した社員による雇用型テレワークは、自営型テレワークにどんどん近寄っていくかもしれません。

組織内での雇用型テレワークは、さきほど書いた理由でなかなか進まず、信頼のおける個人事業主との外部委託のように変化していくかもしれません。信頼のおける個人かどうかは、そこに勤めていた人が一番証明しやすい有利なことです。

となると、雇用型テレワークではないけれども、外部委託先として自営型テレワークができるということです。自営型テレワークなら、誰はばかることなく田舎でも十分できます。田舎暮らしにおいて、これほど、自分のこれまで培ってきた資産を活かし、確実に収入を得る方法はないでしょう。

直接の雇用会社のみならず、自営型テレワークであれば、関連会社、場合によっては競合社など、自分の培ってきた資産を活かせるところもあるはずです。

新たに仕事を見つける方法として「ランサーズ」などのフリーランスのプラットフォームもあります。これも、地方に仕事をつくっている力強い援軍です。それでも、田舎において自分に合ったテレワークの仕事を探すのは至難の業です。まずは、これまで培ってきたものの中からテレワークを考えたいものです。

– 追記 – 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて

《2020年4月15日》
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワークが推奨され、導入するところも増えてきています。現在のテレワークは緊急事態の中でそうせざるを得ないというものです。

感染拡大がおさまった後もテレワークが定着するかどうかはわかりません。ひえとに生産性が維持できるかどうか、維持できそうな見通しがたつかにかかっています。維持できれば、テレワークを阻むものは何もありません。

少なくとも、「田舎でテレワークをする」と言い出しても突飛なことを言いやがる、ということはなくなってきそうです。

田舎でテレワークがしやすくなったことは間違いありません。でも、勤めている人であれば、環境に左右されずに仕事ができる人間だと思ってもらい、なおかつ、実績を作っておくことが大事です。そうすれば、現在の仕事を田舎でテレワークするということも夢物語でなくなります。

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執筆者:有賀知道

自営自足の事業 ようき農園