事業を引き継いでもらう立場からすると

公開日:2022年5月1日 更新日:

勤め先があまりない田舎で、勤め人としての経験をいかして「仕事を移す」「仕事を創る」「仕事を引き継ぐ」という視点で見れば田舎でも展望が少しは開けるのではないでしょうか。

今回は、「仕事を引き継ぐ」の話ですが、引き継ぐ側ではなく、引き継がせる側からも見てみます。そもそも、引き継がせたいと思っている人はどういう人に引き継がせたいのか、です。

どういうところに引き継がせたいか

私は、東京で20年ほどやっていたやっていた事業を3月末で後任に譲りました。現在やっと引継ぎ作業もほとんど終わって、解放感がジワジワとこみあげてきているところです。少数の女性スタッフでしたが、出入りはほとんどなく、ほとんど同じ顔ぶれで仕事をこなしていました。

4年前に南牧村に住居を移せたのも、そのおかげでしたが、南牧村でテレワークをしだして半年後に、東京で中心になってやってくれていた女性が急逝してしまいました。

再び東京に戻る気はまったくなかったので、テレワークでしのぎつつ、誰か事業を継いでくれる人はいないかな、と漠然と考えだしていました。

といっても、M&Aの専門機関や紹介機関は利用する気はおきません。そもそもこちらはNPOです。そうした機関がNPOを扱うこともなさそうですし、それに何より、20年間やってきた資産を最大限生かせるようなところとマッチングしてくれそうな感じもしません。

そうです、私が引き継いで欲しいところは、20年間やってきた資産を最大限活かせるようなところです。活かすためには、事業のビジネスモデルと特徴をよくよく理解する必要があります。事業の価値がわかる、利用価値がわかると言い換えてもいいです。

となると、専門機関なんか頼むよりも、価値がわかってくれそうなところはこれまで付き合いのあった中で私が一番良くわかっているのだから、その中から候補を絞ればいいなとなります。

そして、数社に絞りに絞って交渉したというわけです。お宅なら、こうやってうちがこれまで築いてきた資産を活かせますよ、と。

引き継ぎたい側からすると

今度は、逆に引き継ぎたい人からのアプローチとすると、すでに譲りたいと思っていそうな人に、私ならこうやってこれまで貴社が培ってきた資産を活かせますよ、と。

はっきり言って、ゼロから起業するよりも、田舎ですでにうまくいっている自営業を引き継ぐことのほうがリスクはありません。

ただ、田舎ならではで一つだけ気を付けたほうがいいのは、何か所でもやらないことです。田舎の情報網畏るべしです。何か所に声をかけているだけでも本気度を疑われるので絞りに絞ってです。たとえうまく事業を引き継いでもコケさせたら、その後はこの手は使えないと思ったほうがいいです。

事業を引き継がせたいと思っている人は、多少力不足気味の人がきても大目に見てくれるでしょうが、というより、どんな人がきても力不足にみえてしまいます。ついつい自分以上の働きを求めてしまのは仕方がないことです。そんなにスムーズにはいきません。それはもう熱意でカバーするほかありません。

自分の代で廃業してもいい、まったく引き継がせる気のない人を攻略するのは至難の業です。熱意でもってでてくるアイデアを試し続け、あとは運に任せるぐらいしかありません。

仮にダメでも、その過程の中で、周りの人も含めて味方になってもらえたら、名前は受け継がせないが、内容は教えてやるとか設備を使わせてやる、ということになるかもしれません。

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執筆者:有賀知道

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