もうすでに十二分に成鶏ですが、いまだピヨと呼んで近づいています。
4月末まではピヨの産卵率はだいたい80〜85%ぐらいで推移していました。ところが少し落ち始めます。急に暑くなりだしたからかなと様子を見ていましたが、巣からなかなか出てこないものが2羽ぐらいいることに気づきます。産卵しない午後にもベターっとうずくまっています。最初は朝ごはんの時は出てきていたが、そのうちに朝ごはんにも来なくなってしまいます。産卵箱の中をのぞくとコッコッコと今まで聞いたことのないような鳴き声で鳴いています。
何が起こってるんだろう、頭でぐるぐる思い返します。変なものでも食べさせてしまったかな、防風の冬仕様のままで風通しが悪くなっていたかな、緑餌を入れすぎて床が湿りすぎているのかな、仲間にいじめられちゃったかな・・・。
場数を踏んで勘所をつかんだプロが見れば何が起こっているのかすぐわかることでしょうが、なにせ初めてみることなので動揺が隠し切れません。思い当たるところを直していっても一向にかわりません。このままでは衰弱していくばかりだ。どうしよう。
嫁さんの気づきがが突破口を開きます。気分転換になるのではないかといつもいる場所から外に連れ出して虫とか食べさせたり散歩なんかさせていました。しばらくするとコッコッコと挙動が怪しくなってきます。それでも、時に草とかかき集めて巣をつくるような行動をしているのを見逃しませんでした。
そうか、巣ごもりをしていたのか! 抱卵ピヨだったのか、と。

3羽が巣ごもり中。左側には2羽が入っている。
でも、いくら抱卵しても有精卵ではないので雛がかえることはありません。抱卵ピヨになると産卵もされなくなります。
そんなときはどうするのか、『自然卵養鶏法』(中島正・著、農文協)では、「バタリーへ一時移動すると、20日ぐらいで巣念は去り、卵を産み出すが、元へ戻せばやがてまた巣に就くので、見つけしだい淘汰したほうがよい」、また、「鶏が春季多産して産み疲れがくると、赤玉鶏では晩春より初夏にかけて就巣鶏がでる。その率は約5%である。」とあります。バタリーは、小さく仕切られた棚状の飼育舎です。
平飼いで本能が呼び起されたのが1割以上にもなったのかと思いきや、春の産み疲れとなればエサのやりかたにも改善の余地ありです。
いずれにしても、産卵箱の中でうずくまり卵を守っている姿を見てしまうと、淘汰する気はぜんぜん起きず(たとえば食べる心の準備もまったくできていず)、バタリー飼育ではないのでバタリーもないとなれば、何か手立てを考えないと。
そうだ、巣念をさらせるような(豪華)別荘をつくろう。

トマトの支柱を横に倒して創作。太陽の光をあびて虫も食べ放題。でも人が近くにいないときや夜は獣にやられる心配があるのでいつもの鶏舎へ。これ別荘だけでなく、チキントラクターでも活用できそう。
ともあれ、何事においても起こった現象をみて原因を突き止めるのは難しい。野菜栽培でもしかり、何が原因で葉が黄色くなったんだ? そうなんで、体にブツブツができて痒くてたまらず皮膚科に行って、ブヨ、恐るべし、侮るなかれ (詳細記事) ちゃんと診察料をとりながら「この薬を塗って様子を見ましょう」なんて、何の見立てもなく言われたとしてもほんの少しは同情してやれるようになってきました。