山間部での田舎暮らしは湿気に悩まされます。カビが増えてしまったら処理が面倒くさくなります。その前に手を打ちたいところです。
山間部の湿度は高い
森林内の湿度は、樹葉からの水分の蒸発により他のところよりも高いと言われています。山間部も、森林内ほどではありませんが湿度は高くなります。湿度が高くなるということは、カビが生えやすいということでもあります。カビは、水分さえあれば、どこにでもできると言ってもいいぐらいです。
2019年の夏は2018年の猛暑から一転して、晴天の日も少なくジメジメした梅雨のまま7月後半になっていました。2018年のときは、風通しに注意するぐらいで、それほど目立ってカビが多くなるようなことはなかったのですが、2019年は、気づいたらカビに襲われていました。
カビ退治よりも、予防に力を入れたい
靴、服、整理棚などにカビが生えていました。その具体的な対処法は別のページで紹介しています。でも、そんな対処をする前に防ぎたかったところです。
具体的な対処法のページで紹介している通り、おおむね、エタノールで除菌するぐらいで済んでいます。ひどくなれば、漂白も必要になります。
カビ自体は、エタノールで死滅しても、色素を体外に分泌しますので、この色素が拭き取ってもは残る場合があります。この状況を良くしようとすれば、漂白という作業が必要になってしまいます。
除菌や漂白? 別にいいじゃないか、今はカビ取り剤とかカビキラー、殺菌剤まで色んな便利なものもあるから、それですればいいだけのこと、問題ない、と思っている人も多いかもしれません。
ただリスクもあります。例えば、浴室で使われる塩素系カビ取り剤は、「混ぜるな危険」です。使うときもゴーグルとマスクをつけての掃除です。体によくなさそうですし、タイルなどの下地も傷めるでしょう。でも、カビに対する殺菌や漂白効果は抜群なのでつい頼ってしまう。
除菌で使うエタノールだってフローリング床について変色してしまうことだってあります。整理棚がカビ臭かったので、エタノール液で除菌スプレーしているときに、スプレーが壊れてしまい、エタノール液が床に漏れてしまいました。ティッシュで拭いたりしたが悲惨な状況になっていました。
除菌で使うエタノール液がフローリング床にこぼれて、白濁の状態に。
薬剤を使っての除菌や漂白? それ古いよ、そうならないように防カビ剤があるのじゃないの。たしかに、浴室やら洗濯機、エアコン、壁、壁紙、機器・・・などいたるところに防カビ剤が使われています。
しかし、防カビ剤を添加しているエアコンのフィルターでも、効果はせいぜいひと夏程度であるそうです。防カビ剤は普通水に溶けにくく、この溶けにくい薬剤がほんの少しずつ結露した水に溶けだすことによって防カビ効果が発揮されるといいます。なので、濡れやすいところでは、防カビ剤は短期間で溶けだしてしまい効果は長続きしない。逆に、乾燥しているところでは、効果が長続きするようです。
ともあれ、できうるならば、そうしたものに頼らずにしたいものです。
カビを増やさない予防法
カビの胞子は、地球上あらゆるところの空気中に漂っているといいます。胞子は条件さえ整えばどこでも生えてきます。この条件は、水分(高い湿度)、栄養、温度です(酸素を加えて4条件と言う研究者もいます)。
一般的なカビは湿度80%以上、乾燥状態を好む一部のカビ(好乾性カビ)でも湿度65%以上は必要です。
ほとんどの有機物が栄養源になります。食べ物、飲み物、皮革、布、紙、木、草、塗料、洗剤、チリやホコリ、体から出た油脂などの汚れにいたるまで何でも栄養にします。
25~28℃がもっとも生育に最適と言われています。最適ではないので、生長速度は遅くなるが、10℃以上ならほとんどのカビは育つようです。冷蔵庫でも頻繁に開け閉めすれば庫内は10℃ぐらいにはなるのでカビも生えます。
こうしたことを踏まえて、カビを予防することになります。
風通しを良くする
湿度を下げるためにもっとも効果が高いのは、窓を開けて換気をすることです。天気のいい日は積極的に窓を開けて、空気を通して湿気をこもらせないようにします。流れない水が腐るのと同じように、空気の流れが悪いところでカビは増えます。
窓を開けて風が通るようにするほか、押し入れなどでも空気の流れが滞らないように、物を詰めすぎない、スノコを下に敷く、また、家具などは壁に付けすぎない、ずっと同じ場所にものを置かない、と言ったこともすればなお良しです。
水滴を残さない
カビは、水分さえあれば、どこにでもできると言ってもいいぐらいです。特に、水がいつもたまる場所には要注意です。例えば、入浴直後の浴室内の湿度は90%以上ですが、換気扇を回すと湿度は60%以下に下がります。ただ、水がたまっている場所ではほとんど湿度に変化がありません。ここでカビは増え続けます。
浴室、洗面台、シンクなど、水や水滴がいつもたまっているような場所は拭く癖をつけたいところです。
掃除をする
その辺に置いてある食べ残しや、体から出た油脂、ホコリまでカビの栄養源です。カビの栄養源をすべて除去することは無理ですが、なるべくカビの栄養源になるようなものをなくすために、清潔にしておきたいものです。
それでも、カビを見たら、見て見ぬふりではなく早め早めにウエットティッシュや除菌シートなどでサッサと拭き取ります。
カビとうまく付き合う
今の潔癖社会、カビをことのほか毛嫌いしていますが、『カビはすごい』(浜田信夫・著)という本を読むと、過度に恐れる必要もなさそうなことがわかります。相手を知ることで適度な距離の置き方も見えてくるかもしれません。カビに対して神経質になりすぎる方は一読をお勧めします。念のため、最後に付け加えておきます。