耕作放棄地の草を観察してみる。来春、家庭菜園にする準備です。

公開日:2019年11月21日 更新日:

夏に2回ほどこの場所を草刈りをしました。実家の敷地内に15年ぐらい前から耕作していなかった元の畑のところです。その時点では、この場所を畑にするとは思ってもいませんでした。何も考えずに、刈払い機できれいに草刈りをしていました。何でこんなに雑草が育つのか、と愚痴をいいながら。どんな種類の雑草が生えているかなんて考えることもなく。もったいないことをしました。

耕作放棄地の草を観察してみる。
耕作放棄地の草を観察してみる。

草が土の状況を教えてくれるというが

草になど、これまでまったく関心がなかった人間が、草の名前が簡単に当てられるほど、甘いはずがありません。付け焼刃で『観察する目が変わる植物学入門 』 という本を読んで勉強するも、花がついてない状況ではさっぱりわかりません。

10月の時点でわかったのは、2つだけ。クローバーと猫じゃらし。本を読まなくてもわかったのものだけです!

イネ科のようなものもよく生えているがよくわからない。

イネ科のようなものもよく生えているがよくわからない。

白クローバー(シロツメクサ、マメ科)はすぐわかる。

白クローバー(シロツメクサ、マメ科)はすぐわかる。

猫じゃらし(エノコログサ、イネ科)もわかる。

猫じゃらし(エノコログサ、イネ科)もわかる。

草が土の状況を教えてくれるというは、その通りでしょうが、まず何の草なのかを確かめるのが難しい。まぁ、2つだけでもよしとして、この2つから土の状況を見てみましょう。

シロツメクサとエノコログサが生える土の状況は

シロツメクサはマメ科です。マメ科植物のほとんどは、根粒菌と共生して窒素固定をします。そのため、窒素分が乏しい痩せ地でも良く育ちます。緑肥作物としても使われます。

要するに根粒菌は、空気中の窒素から窒素肥料をつくることができるということです。ふつうの温度や圧力の下でその反応を行うことができるので、あまり土地が肥えていない場所でもシロツメクサを植えておけば、根に根粒菌がくっついて空気中の窒素を窒素肥料に変えて、それをシロツメクサに与える。そのため、人間が窒素肥料を与えなくても、どんどん元気に育つというわけです。

『自給自足の自然菜園12カ月』(竹内孝功・監修、新田穂高・著)という本でみると、シロツメクサはステージ1に生える草です。酸性土壌で痩せている土のステージでスギナやカタバミなどと同じ類です。

ちなみに、ステージ0は、ススキやヨモギ、セイダカアワダチソウで草原状態。ステージ2のシロザ、アカザ、カラスノエンドウ、スズメノカタビラ、ツユクサなど、そして、ステージ3のオオイヌフグリ、ハコベ、ナズナ、ホトケノザ、ハキダメギクなどへと肥沃な土壌になっていく。肥沃な土壌では様々な野菜が自然に育つということになります。

エノコログサはイネ科です。アワの原種と考えられています。痩せた土地によく生えます。背の高さにより、耕盤層が浅いところにあるかどうかもわかります。 硬盤があると根が深くまで伸びられず、その結果、背も高くならないようです。

ともあれ、家庭菜園にするには下のステージからの出発になりそうです。

で、どうするか? 来春からの家庭菜園

土の状況がある程度わかったとして、問題はどうするかです。大きく2つの方向があるように思います。

  1. 自然堆肥などを入れて、肥沃にして、さまざまな作物を育てる。
  2. 今の土の状況にあった、作物から育てる。

1では、種まき前に自然堆肥や燻炭などを入れて土づくりをしておくというものです。初年度からさまざまな作物を作りたい場合でしょう。

2は、土のステージにあった作物を育てながら、土づくりをしていって、少しづつステージの高い野菜を取り入れていくようにする方法です。

商売なので一刻も早く売上げを上げないとヤバい、という状況とは無縁の家庭菜園なので、年月をかけてよい畑にしていく、2の方向でやってみることにします。

一見、長い間作物を作っていない耕作放棄地は地力が回復していいように思ってしまいますが、自然栽培では、適度に野菜を育てたほうが微生物も働き、土を育てる自然の仕組みも活発化して土づくりが進むと捉えます。

『自給自足の自然菜園12カ月』の中で、シロツメクサが生えるステージ1の土に適した作物として挙げられていた、ジャガイモ、サツマイモ、エダマメ、大豆、麦、マメ科緑肥作物などの中から、周りの畑でも作っているようなものから始めてみようと思います。

そうでした、シロツメクサは、緑肥作物にもなるのですが注意が必要でした。ほふく茎(ランナー)と呼ばれる方法で広がっていきます。地面を這うので(ほふく)で畑の中に入っているとやっかいです。地面すれすれで刈り取るだけではいつまでも茎が残ってしまうので、根のあるところの根元から掻き取るようにします。

畑から離れた土手などに植えれば、他の雑草を押さえてくれた上、緑肥にもなるので、そうした使い方はいいかもです。アカツメクサ(赤クローバー)は、ランナーではないので、畑の中でも大丈夫です。

ためしに測定機器を使って酸性度などを調べてみる

11月末、「シンワ測定・デジタル土壌酸度計A 地温 水分 照度測定機能付き」という機器で調べてみました。

土壌酸度計A。PH6.5。弱酸性の値を示しています。

PH6.5。弱酸性の値を示しています。

土壌酸度計A。地温12℃。土はドライ、と出ています。

地温12℃。土はドライ、と出ています。

いろいろな場所を測定し、場所によって多少違いましたが、PH6.5のところが多く、PH7.0も出てくる場所があるという感じです(計測は0.5刻み)。中性よりの弱酸性になっているようです。

雨が多い日本の気候条件ではほとんどの土が酸性になると言います。土の中にしみ込んだ雨が、土の中のカルシウムやマグネシウムなどのようなアルカリ性のミネラルを地下に流てしまうからです。雨のほかには、肥料(特に窒素肥料)のやり過ぎも土を酸性にする要因のようです。

15年も耕作放棄されていたところなので、 窒素肥料分はなくなっているでしょうが、あまり酸性に傾いた土壌でなかったので一安心です。

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執筆者:有賀知道

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