代表者あいさつを書く。

公開日:2021年4月18日 更新日:

なんもく健康長寿組合(仮)のサイトに、まず書き込んだのは、代表者あいさつです。関係する人全員の情報共有にもなります。何よりいいのが、書きながら、頭の整理がつくところです。

最初にできあがった文章を以下引用してみます(今後、追加・修正するでしょうから、実際にサイトで見たときは、文章がだいぶ違うかもしれません)。

南牧村が一躍有名に

「消滅可能性都市」で一躍南牧村は有名になりました。『中央公論』の2014年6月号(2014年5月発売)に消滅する市町村523全リストが掲載され、そのトップが南牧村です。

そのリストを発表したのは、日本創生会議(増田寛也・座長 )の「人口減少問題検討分科会」で、「人口の再生産力」に着目した試みです。

リストは、若年女性(20~39歳)人口の減少率(2010年→2040年)が高い順に並べるというものです。減少率が5割を超える896自治体が「消滅可能性都市」に当たります(全自治体の49.8%です)。さらに2040年に人口1万人未満の523自治体について「消滅可能性が高い」とされます(全自治体の29.1%です)。

ただ、公共団体名を名指しで公表したため、その反響は大きくトップの南牧村だけではなく、896自治体の中には豊島区も入っていて騒いでいたのも記憶に新しいところです。

ともあれ、これ以降南牧村への注目度はすごいものになります。

注目度はすごいのだが

これまでメディアに取り上げられることなどなかったものですから、注目されて浮足立ってしまうのも仕方がないことです。高齢社会や限界集落、過疎地、田舎の代表のような扱いです。何か大したことでなくてもすぐにメディアで取り上げられる状況です。メディアで取り上げてもらえるようにあの手この手でやっている地域からすればうらやましい限りでしょう。

この注目を契機に何も展開できずに、浮足立っていただけで何も残っていないことにならないようにしたいものです。

あまり騒がないで(残りも短いのだから)静かにしておいてくれという人が大勢としても、注目されることで消滅しづらくなる面も多少はあるかもしれません。市町村合併で隠れてしまったが、注目もされずに南牧村よりも酷い状況のところも多いと思います。

もっとも先ほどのリストで見れば、消滅可能性自治体は5割近いのですから、局所的な悪さを競っている場合でもなく、日本全体で見ても南牧化は避けられないところです。

『未来の年表』(河合雅司・著、講談社現代新書)という本には、少子高齢化と人口減少により今後どんな状況になりそうか年表形式で書いてあります。暗くなります。

高齢者の定義を75歳以上とすれば様相がガラッと変わる

高齢者は65歳以上とされています。国連の定義では、高齢化率(65歳以上の割合)が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」とされます。2018年10月1日現在、日本の高齢化率は28.1%です。

65歳以上の人口と、15~64歳人口(現役世代)の比率を見てみると、私が生まれた2年前1965年は、1人の65歳以上の者に対して10.8人の現役世代がいたのに対して、学生のときの1990年は5.8人、2020年では2.0人、2025年は1.9人、2042年は1.5人、になっています。今後も低下し続けて、2065年には1.3人となる予想です。

でも、高齢者の定義を75歳以上にすれば、様相はガラッと変わってきます。

ーーー高齢者の線引きを「75歳以上」へと引き上げてみよう。すると、2065年の高齢者の割合は25.5%にまで下がる。同時に現行14歳以下となっている「子供」の定義も「19歳」以下とする。いまや15歳で就職する人はごく少ないからだ。
この新たな年齢区分で、高齢者1人を何人で支えればいいかを計算し直すと、日本の未来は違った姿となる。団塊世代が75歳以上となる2025年は「3.7人で1人」と騎馬戦型社会を維持できる。65歳以上がピークを迎える2042年でも「3.2人に1人」だ。2065年は現在と同水準の「2.4人で1人」で、肩車社会は避けられる。
高齢者から外れる65~74歳の多くが働くのが当たり前の社会となれば、労働力不足も社会保障の財源問題も大きく改善することだろう。ーーー『未来の年表』(河合雅司・著、講談社現代新書)

「75歳以上」は、「日本老年学会と日本老年医学会が合同で高齢者の定義を見直す提言」を踏まえてのものです。

ーーー近年の高齢者の心身の健康に関する種々のデータを検討した結果、現在の高齢者においては 10~20 年前と比較して加齢に伴う身体的機能変化の出現が 5~10 年遅延しており、「若返り」現象がみられています。従来、高齢者とされてきた 65 歳以上の人でも、特に 65~74 歳の前期高齢者においては、心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めています。また、各種の意識調査の結果によりますと、社会一般においても 65 歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が強くなっており、内閣府の調査でも、70 歳以上あるいは 75 歳以上を高齢者と考える意見が多い結果となっています。ーーー高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言

健康寿命(日常生活に制限のない期間)と平均寿命の差は2016年において 、男性が8.84年(72.14と80.98)、女性が12.35年(74.79と87.14)です。健康寿命、平均寿命ともに延びてきていますが、定義の変更には健康寿命で75歳を超えたいところです。

ワーキンググループの提言では「高齢者の身体能力の改善傾向が今後も続くかどうかは保証されておらず、あらためて、次世代への健康づくりの啓発が必要と考えています」で締めくくられています。

南牧村を見渡せばなんて言うことはありません。70歳ぐらいでは若手で現役バリバリに働いている人も多数ですから。

なんもく健康長寿組合とは

元気な高齢者が多いということのほか、南牧村の特徴はどんな感じか、思いつくところでは。

・高齢化率日本一である。
・東京から近い。
・山に囲まれた谷、自然が多い。
・開発業者も目を向けないので荒らされていない。

高齢化率日本一のインパクトの大きさが、それ以外のものを隠してしまうほどです。こうした特徴をうまく取り入れて何かできることはないか? 

そこに、なんもく健康長寿組合、です。

南牧村が注目されていると言っても、メディアでの取り上げられ方は、高齢化率日本一という状況でも元気に暮らしているとか、頑張っている人がいる、みたいなものです。どうも商売につながりそうもありません。

それを例えば、日本一健康長寿の村という位置づけに変えることができればどうでしょうか。

がぜん周りの人も興味が出てきて、その秘訣を探りたくなるでしょう。かつての、山梨県の棡原村(ゆずりはらむら)がそうであったように。

こんな食材を食べて元気になっているのか、私も食べとこうか、みたいに。ビジネス展開でもイメージできます。

もちろん、南牧村の現状をすぐには変えられないし、一朝一夕にはできませんが、でもそこを目指していきたいところです。現に、元気な高齢者が多いので、その生活スタイルのエッセンスをゆっくりでも浸透させ増幅させていけれれば何とかなる気もします。

・食べ物に気を付ける
・体を動かす
・役割を持つ、張り合いを持つ

健康長寿には、この3つあたりではなかろうかと今のところ仮に見当をつけています。

一番分かりやすい単純形とすれば、自分の食べるものは、畑で体を動かしながらつくって、その余剰分をお裾分けで道の駅で販売したり、時間や体力に合わせて栽培したものを販売したりして購入者にも喜ばれている、という姿です。

あるいは、自家用の食べ物はそれほど作っているわけではないが、食生活に気をつけつつ、定年のない自営業などでお客さんや周りの人のために働いて張り合いのある生活をしている、という姿です。

こうした生活スタイルが実現できるような場づくりを担う事業を行うのが、なんもく健康長寿組合、です。

・医食農同源の推進
・役割の創出

村には畑になるようなところは腐るほどあるので、せっかくの資産を活かさないのはもったいないことです。医食同源をさらにすすめて、医食農同源ができる環境にあります。食べて健康、畑で体を動かして健康です。

さらに自分で作った作物を、誰かにお裾分けして喜んでもらえたら張り合いも出るというものです。対価がつけばさらに張り合いが出る人もいるでしょう。販売できてさらに健康です。

販売については、自営業などをしている人も同様でしょう。社会からの役割の確認ということでもあります。時間と体力次第です。わが子の家族にお裾分けする役割で十分という人もいるでしょう。

さて、健康長寿が実現できるような場づくりを担う事業と言ってみたところで、何をやっているのか具体的に見えないと、周りの人に眼をむけてもらい理解してもらって行動につなげてもらうことはできません。

とにかく分かりやすい所から入りたいところです。たとえばこんな感じです。

これまで健康にこられたのも、お茶をよく飲んできたこと、中でもヨモギ茶なんかをつくって飲んだりしたことが効いたのかな、と思っている高齢者がいるとします。

健康長寿組合で、調べてみるとどうもマーケットもありそう。そこで、組合は先行してヨモギ茶を栽培・販売、ある程度売れることが確かめられたら、高齢者にヨモギ栽培の役割を担ってもらいます。

役割があって健康、栽培で体を使って健康、ヨモギ茶を自分でも飲んで健康、と三拍子そろいます。

もちろん食材の選択には慎重を要しますが、話をわかりやすくするとこんな感じです。

組合=健康増幅装置です。いま残念ながら役割がなければ、健康食材そのものの提供の役割を担ってもらう。自営業などをしていて何かものづくりなどができれば、その場を作り出す。

ゆくゆくは、「健康長寿で有名な南牧村の人が食べているものか~」とか「健康長寿の人がつくった商品か~」と言われるように。高齢者が元気であればあるほど、商売になる、そういう方向です。

もっとも、この組合は高齢者だけが関与するものでもありません。南牧村を健康長寿村にしようとする人や、健康的な食材を栽培したい人、医食農同源などで健康(結果として長寿)でありたい人、食材の加工に長けている人など、活躍できる場もでてくるようにしたいところです。

田舎村からの小さな取り組みではありますが、高齢者の定義を変えるのに多少の援軍にはなるかもしれません。

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執筆者:有賀知道

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