防獣柵のつくり方・完結編(ワイヤーメッシュ+防獣ネット版)

公開日:2023年3月12日 更新日:

これから紹介する作り方は、費用をなるべく抑えつつある程度堅固な防獣柵を作りたい人には参考になるところがあるはずです。

防獣柵のつくり方・完結編(ワイヤーメッシュ+防獣ネット版)
防獣柵のつくり方・完結編(ワイヤーメッシュ+防獣ネット版)

今回で5回目の防獣柵作り

これまで畑を広げるのにだいたい1年に1回のペースで5回、防獣柵を作ってきました。鹿とイノシシの害獣対策で家庭菜園に防護柵+防獣ネットを設置する。 防護柵+防獣ネットに忍び返しを設置する。 防獣柵を設置する。 などに書いてきました。これらの中には、使えるものと使えないものがありました。

風のすごさは想像以上で全部を防風ネットにして支柱が揺らいでしまった、ということや、支柱を打ち込むのに『パイプヌキサシ君』はあまり当てにできない、なんて言うことがありました。支柱の間隔はワイヤーメッシュと同じ幅の2mで大丈夫、折り返しはなくてもいい、ということもありました。

今回はこれまでで一番長い100m超えの防衛ラインを築きました。これまでのことを踏まえて仕様もだいたい決まってきたのでまとめてみましょう。

防獣柵の仕様

3mのメッキパイプを支柱として70~80cm地中に埋め込み、地上部は2m20cmほどで、地面から高さ1mで 、ワイヤーメッシュを置き、その上に防風ネット、防獣ネットは高さ2m超えの位置から吊るします。防獣ネット部分にはハウスバンドをあてがうという仕様です。

:防獣柵のつくり方・完結編

鹿の出没が頻繁なところでものこの仕様で大丈夫! 緑が防獣ネットで青が防風ネット。

なぜ、このような仕様になるのかは、これまでの記事にありますのでそちらを参照ください。以下で要点を記していきます。

資材は、防獣柵100m設置で約10万円ほど

資材の価格は、2023年2月頃のものです。価格は4年前に最初に作った時よりもかなりあがってきています。買ったところのコメリは全国区ですが、セキチューはローカルです。似たような商品はコメリや他のホームセンターでもあると思います。

構造材

メッキパイプ支柱にする。直径25.4mm×高さ3mのもの。1本877円(セキチュー)。3メートルのものがなければ、ハウス用の直径25.4mm×高さ5.5mのものを半分に切断して利用してもいい。1本1430円(コメリ)。
ワイヤーメッシュ幅2m×高さ1mのもの。15cmのメッシュ。 ワイヤー直径5mmのものが678円(コメリ)、直径ネジレ4.5mmが547円(セキチュー)。ネジレ4.5mmでも強度に問題はない。
防獣ネット高さ150cm。幅50mで3280円(コメリ)。
防風ネット高さ150cm。幅50mで3880円(コメリ)。
ハウスバンド防獣ネットにあてがう。セキスイコートバンド10mmX500m3芯のもの。1280円(コメリ)。

補助材

パッカー防獣ネットを支柱に留める。コーワパッカー・25mm・100個入、5850円(コメリ)。
番線支柱パイプとワイヤーメッシュを結束する。ユニクロ針金18番、#18×110m・1kg、798円(コメリ)。
ロープ防風ネットを地面に固定させる。標識ロープ・#9×100m、1380円(コメリ)。
U型ピンロープを地面に固定する。ヘアピン杭・20cm・100本入りで1628円(セキチュー)。

主な道具。園芸三脚以下は、あれば便利なもの。

下穴明け杭支柱を打ち込む前に穴をあけておく。「下穴明け杭」(直径22mm、長さ80cm、重さ3.4kg)。楽天などで7000円ほど。
園芸三脚支柱を打ち込むときに脚立が必要だが、園芸三脚があれば傾斜地でも安定。ただ脚立に比べて値段は高い。6尺180cmのもので19800円(コメリ)。
大ハンマー支柱を打ち込むときと、下穴明け杭を打ち込むときに使う。大きいハンマーがあれば楽。
ハッカーワイヤーメッシュに番線を結束するときに便利。1000円ほどのもので大丈夫。シノと呼ばれる道具でもいい。
水平器下穴明け杭を打ち込むときに垂直に立つようにみる。傾斜地ではあったほうがいい。
田引車田んぼや畑などに、ヒモでまっすぐ目印をつける道具。

どの道具も、防獣柵をつくるときだけでなく他の場面でももちろん使えるものです。たとえば、田引車は畑のエリアの区分けや畝立てのときに使います。

今回、100mほど設置しました。構造材と補助材を合わせて約10万円ほどかかりました。100mとして2mおきのメッキパイプとワイヤーメッシュが50ずつ必要で、877円×50+547円×50=71200円です(正確には重なり部分が必要なので、2mよりも少し短い間隔)。防獣ネットと防風ネットで14320円です。そのほかもろもろ合わせて10万円という感じです。労働力は別ですが、一日5時間ぐらい作業したとして、3日は見ておいたほうがいいぐらいの作業量です。

これを高いとみるか安いとみるかは人それぞれ状況次第でしょうが、堅固なつくりのわりには恐らく安く上がっていると思います。シンプルにして余分なものはそぎ落とす。シンプルにできるかどうかは支柱をしっかり打ち込めるかどうかにかかっています。

下穴明け杭+園芸三脚+大ハンマーが3種の神器

支柱をしっかり打ち込むための道具が下穴明け杭+園芸三脚+大ハンマーです。下穴明け杭は必須です。園芸三脚と大ハンマーは代替がききますがあれば作業がスムーズに進むというものです。

下穴明け杭+園芸三脚+大ハンマーが3種の神器:防獣柵のつくり方・完結編

支柱をしっかり打ち込むための道具。下穴明け杭+園芸三脚+大ハンマーが3種の神器

防獣柵の作業工程の主要場面

耕作放棄地に防獣柵を設置する:防獣柵のつくり方・完結編

写真奥の竹やぶを開墾したところから防獣柵をつくりはじめる。これから畑右側に防衛ラインをつくっていく。

田引車があれば支柱を打ち込むとき直線を出せる:防獣柵のつくり方・完結編

これが田引車。支柱を打ち込むときの目安がないと直線にするのはなかなか難しい。

下穴明け杭を打ち込むときに水平器で水平をみる:防獣柵のつくり方・完結編

下穴明け杭を打ち込むときに水平器で水平をみる。打ち込んでいる最中に曲がってしまうこともあるが、ざっくり水平が保たれるだけでもいい。特に傾斜するところではあったほうがいい。

下穴明け杭での一番の注意は水道管の有無:防獣柵のつくり方・完結編

この下穴明け杭があれば、だいたいどんなところでも下穴をあけることができる。一つだけ気をつけたいのは、下に水道管が通っていそうな所。正確な場所までわからないが、役場にある図面で確認。

園芸三脚は足を乗せる台も広いし、傾斜でも安定する:防獣柵のつくり方・完結編

園芸三脚は足を乗せる台も広いし、傾斜地でも安定する。3mパイプを打ち込むのでけっこうな高さになる。安全第一。

大ハンマー今はなかなな手に入らない。:防獣柵のつくり方・完結編

大きいハンマーは力がいるが、下穴をあける時、支柱パイプを打ち込むとき非常に楽。でも、今はなかなか手に入らない。

ハッカーは使い慣れたら作業が楽になる:防獣柵のつくり方・完結編

ハッカーでワイヤーメッシュと番線を結束する。支柱は約2mおきで、ワイヤーメッシュの端がくるようになる。

パッカーは非情に便利:防獣柵のつくり方・完結編

防獣ネットはパッカーで留める。曲線エリアでは、ここをキツキツにはると下の部分をワイヤーメッシュにはわせることができなくなることがあるので、2,3重に折って留めておくと下の部分も余裕ができる。

防風ネットをワイヤーメッシュの先端につきさすだけ:防獣柵のつくり方・完結編

防獣ネットの上から防風ネットをかぶせワイヤーメッシュの先端につきさすだけ。

防風ネットの下は、ロープとU型ピンで留める:防獣柵のつくり方・完結編

防風ネットの下は、ロープとU型ピンで留めておく。

ハウスバンドで鹿の角除けになる:防獣柵のつくり方・完結編

防獣ネットには、2本のハウスバンドをはわせておく。

100m超えの防衛ライン:防獣柵のつくり方・完結編

シカの糞だらけだった場所に、100m超えの防衛ラインが完成! 

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執筆者:有賀知道

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