回覧板を回す。

公開日:2019年6月13日 更新日:

回覧板を回すのは、組長の役割です。組長というと、何かたいそうな感じがしますが、毎年持ち回りで各世帯がつとめ、回覧板のほか、広報誌などの配布物を同じ組内の各家庭に届けたり、区費を集めたりします。

回覧板。南牧村の例
回覧板。南牧村の例

組(班、隣保班)が区を構成する

わが家庭は、4月から組長を務めています。組の世帯数は8戸です。毎年持ち回りで各世帯がつとめるので、途中で世帯数が減ったり増えたりしなければ、8年に一回は組長が回ってくることになります。

この組4つの集まりが「分区」と言われるものになり、分区が3つ集まって区を構成しています。組によって戸数が違い、少ないところでは3戸ですが、分区で22戸になります。区全体で60戸ほどです。(数や呼称は、もちろん地域によって違います。組は地域によって班とか隣保班とも呼ばれます)。回覧板や役場の配布物は、ひと月に一、二回、分区長さんのところから届けられます。

一般的には、この区が、地域社会を運営する一つのまとまりである自治組織になります(わが家のあたりでは分区が自治組織になっていますが)。地域の共同生活に関わる様々な問題を処理するための自治議会の機能を持っています。最高意思決定機関として総会も行います。通常総会も毎年一回行うということも、一般的な組織と同じです。

総会には、各世帯から一人出席することになっていますので、全世帯の人全員が揃うかというとそうでもありません。そのあたりは、どのような組織でも似たり寄ったりでしょう。出る人もいれば、(都合により)出ない人もいます。

基本的には自主的な自治組織なので、村役場などの下請け組織でありません。行政からすれば任意団体という位置づけです。ともあれ、自治組織ということは、住民の便宜を図るために行政の手伝いもするが、区に災いが及ぶようなことがあれば、役場と対立することも辞さない、ということもありえます。

回覧板と隣組

もっとも、役場と対立はさておき、日常的なところで言えば、村役場や農協、森林組合などの情報を伝達する役割を区は担っています。回覧板もその一つになるわけです。役場や農協の広報誌などの配布物を各家庭に届けるのもそうです。どこの地方でもだいたい同じでしょう。

自主的な自治組織と言いながら、やっていることが同じなのはどういうこと??

そう思ったあなた、鋭いです! このような役割を担うようになっているのは、歴史と大きく関係しているからです。

組は、昔の隣組の流れをくんでいます。隣組とは第二次世界大戦下、国民総動員体制を図るため、各集落に結成された官主導の組織です。隣組は、相互扶助や団結をもって戦争を後方で支えるとともに、国策を国民に徹底させるためにも都合がよい組織です。ということで、隣組が上意下達の役割も果たし、回覧板が普及することになります。

回覧板などが、 昔の隣組の活動形式を色濃く残していたというわけです。

回覧板は今も有効な情報源

さて、隣組と回覧板の歴史はどうであれ、村内の情報、動きを知るには、たしかに回覧板や配布物は役に立ちます。たとえば、とある月の回覧板の中身を見てみますと、土木事務所から道路補修に伴う通行規制のお知らせチラシ、警察署から事件事故の件数や振り込め詐欺の防止などについて書かれた広報誌、消防庁から防災情報の伝え方が変わるというお知らせチラシ、小中学校からの便り、イベントのチラシ3枚という具合です。こうした情報がまとめて見られるのはありがたい。

組に属していれば、回覧板は黙っていても回ってきます。組長になれば回覧板を回します。んっ? もしも区費を支払わないで組に属さないとどうなるの? さっき、自主的な自治組織と言ってたじゃないか、それなら、参加も自由でいいはずじゃないか! 

たしかに、参加しないという判断もありえます。でも、それは地域への仲間入りを拒否したと受け取られても仕方ないということもよく理解しておいたほうがいいです(特に、村のようなところではなおさら)。別荘地移住のような場合は別でしょうが、村の中に住んで快適に過ごそうとするならば、そんなリスクをおかしてまで組に属さないという選択肢はないように思います。

そうは言っても、組に入るときに高額な入村料が必要な地域もあったり、役につくと日常の生活に支障が出るほどやることが増えるという地域もあるかもしれませんので注意は必要です。

そうでした、選択肢はないと、言い切る前に、どんな負担があるのかも明らかにしないと公平ではないですね。それは、またの機会にお話しします。

-,

執筆者:有賀知道

関連記事

自営自足研究会の支援事業 手仕事品の通信販売:なんもく健康長寿組合