もっともカビが生えやすいところの一つが浴室です。浴室入口の木枠にまでカビが生えていたので、防カビ剤の入った塗料で塗装してみました。
木枠のカビ取りをする
いきなり、白木のカビの上から塗装して覆い隠してしまいたいところですが、そうするのは良くありません。表面のカビ状態を隠せますが、そのためかえって、カビの進行に気付かず、さらにカビがひどくなってしまうということもあります。カビの種類によっては塗料も栄養源になってしまいます。まずは、除菌してから塗装するのが順序です。
緑色になっている部分がカビ。知らない間に、カビが生えていた。
エタノール除菌する
浴室というと、カビキラーを連想する人もいるかもしれませんが、使えません。水洗いのできないところに、カビキラーのような強力な塩素系漂白剤が配合されているカビ取り剤を使用すると、そこに薬剤が染みて残り、たとえ乾いた後でも濡れた肌が触れたりすると肌に薬剤がついて、かぶれのような症状になることもあるようです。さらには、木材自体も傷めてしまいます。
除菌には、エタノールを使います。エタノールでカビを死滅させることができます。エタノールは、重量ベースで70%、容量ベースで80%のときにもっとも除菌する力が強いと言われています。エタノールは揮発性なので成分も残りません。
市販のエタノール80%のウェットティッシュを使ってカビの部分を丁寧にふき取る。
カビが生えてないところもよく拭いておく。
塗装の準備
塗装の出来栄えを左右するのは、何といっても下地調整です。下地調整は、塗装する面を平らに滑らかにし、塗料が密着しやすくするのが狙いです。
紙ヤスリをかけて下地調整をする
下地調整は、紙ヤスリでします。紙ヤスリにもいろいろな種類があります。種類とは、目の粗さの違いのことです。目が粗いものはざっくりとならすのに使い、目の細かいものは、仕上げに使います。目の粗さは番手で表し、番手が増すごとに目が細かくなってきます。
木の状況をみて、どの番手を使うか決めます。今回は、木の状態もいいので、240番と、塗装の後は表面が毛羽立つので、重ね塗りの前に400番を使います。
粗目 | ケバとり。木材の表面がザラザラして状態が悪い時に使う。 | #40 #60 #80 #100 |
中目 | 塗装前に使う。 | # 120 #150 #180 #240 |
細目 | 表面磨き。重ね塗りの前などに使う。 | #320 # 400 |
紙ヤスリは、はさみで切ると刃が傷むので、曲尺などでちぎるようにします。
サンダーと言われる紙ヤスリを固定する道具があると、広い面のヤスリがけも楽になります。
ハンドサンダーよりも小回りがきくように、木片に紙ヤスリを巻いて細かいところに使う。
ハンドサンダーや木片が使えない局面では、直接、手でする。
紙ヤスリをかけたあとは、粉塵があるので、布でよく拭き取っておく。
マスキングテープを張る
周囲を汚さないようにマスキングテープを張ります。塗料のはみ出しも気にしなくていいので素早く作業ができます。よくある失敗は、テープの張り方が甘い、乾く前にはがして塗料が流れる、です。
マスキングテープが張ってあれば安心してハケを使える。
張り方が甘いと隙間に塗料が入ってしまうので、爪でしっかりこする。
はみ出しそうな部分は、すべてマスキングしておく。
塗装をする
塗装には、湿度が低いほうがよく乾くので向いています。天候は雨が降っていなければ、晴天に越したことはないですが、快晴である必要もないでしょう。
さて、いよいよ、塗装です。どのような順序で塗っていくかのイメージを最初に持っておきます。
- 目立たないところ、塗りにくいところから塗る。
- 木目に沿って、一気に塗る。
- 上から下へ塗っていく。
一度塗りと書いてあっても薄めて塗るのがポイントです。粘度が落ちて塗りやすくなります。重ね塗りが前提ですが、塗りムラなどの失敗は少なくなります。細かいことは気にせず、さっさとどんどん塗っていくようにします。
塗装面が乾燥したら、400番でヤスリがけ、また塗る、を繰り返すことにします。今回は、計4回塗ります。
塗料の選び方
カビ対策なので、防カビ剤が入った塗料にします。JIS規格ではカビ13菌のうち、3~5種に対して有効性があれば、防カビ剤として認定されます。できるだけ多くのカビの種類に対応する強力な防カビ塗料を選ぶと安心です。
屋内の木部に使えることも大事です。防カビ剤の入った屋外用の塗料はたくさんありますが、屋内でも使えるものにします。
木材には調湿作用があります。湿度が高ければ湿気を吸収し、反対に乾燥していれば放出するという作用です。ニスやペンキのような塗膜をはるような塗料だとこの作用を妨げます。なので、塗膜を作らない塗料を選びます。なおかつ、湿気が多い中でも木材を保護できる塗料です。
昔は、塗料といえば油性のことでしたが、水性塗料の性能が油性塗料並みになってきていますので、使い勝手と扱いやすさからして水性を選んでおけば間違いありません。
今回は、塗料は水50%で薄めた。容器は、キムチが入っていたも。
1回目の塗装
目立たないところから塗りだす。
上部から塗る。ハケに塗料を含ませすぎないようする。
塗り終わったら、ハケが乾かないように、袋に入れて輪ゴムで閉じて、乾燥を防ぐ。
2回目の塗装
塗装面が乾くまで、3時間ほどしてから2度目を塗る。塗料や時期によって乾燥時間に違いが出ます。どれくらいの時間乾かすかは、塗料の説明書に書いてあります。
1回目と同じように、目立たないところから、そして、上部から塗っていきます。
1回目に比べ塗料が木に染み込まないので、塗料の伸びがよく、刷毛運びも滑らかになる。塗料も少なく済む。
3回目、4回目の塗装(翌日)
塗料が完全に乾いてからマスキングテープを外します。塗料がはみ出しているような部分があれば、ウエットティッシュできれいにしておきます。
塗装をすると木の表面が毛羽立つので、塗料が乾いてから、軽く400番でのヤスリがけ。
再度マスキングテープをはって、3回目の塗り。3時間ほどして乾燥したら4回目の塗りをします。
塗りの回数が増すごとに、塗料の伸びがよく、刷毛運びも滑らかになる。塗料も少なく済む。
乾いたらマスキングテープを外します。乾かないうちに、はがすと塗料が流れて周りを汚すので注意します。
マスキングテープの張り方が甘いとこうなってしまう。はみ出した部分はウエットティッシュで拭きとって目立たなくなった。
毛羽立ちが気になるようなら、ごく軽く400番の紙ヤスリをかける。これで完了。
後片付け
後片付けが楽なのが水性塗料のありがたいところです。刷毛は、よく水洗いして、日陰干しにして、乾燥させてしまっておけば、次回の塗装の時も使えます。 水洗いする前に、刷毛についた塗料を新聞紙でふき取っておけば、水洗いの時の排水の汚れも少なくてすみます。
余った塗料は、できるだけ空気に触れないようにすれば、1年ぐらいは保存できます。別の小さな容器に移し替えるのもいいでしょう。ただ、水で薄めたものは、水が腐るので使い切るようにしたいところです。