畑に行くたびに仇のようにして取り除いていたスギナ。しかし、お茶にして飲めるとは! これまで邪魔者扱いにして散々捨ててきたが、資源を無駄にしてきた思いです。
畑にしつこくはびこるスギナ
「ツクシ誰の子、スギナの子」と昔から言われますが、これを知る人も少なくなってきているかもしれません。都市部では開発にともなってスギナの生育地がどんどん減ってきて見る機会もすくなくなっているからです。
しかし田舎にはまだいたるところで顔を出しています。愛でる対象としてではなく、しつこくはびこる雑草としてです。と言っても畑をやる前は特段気になることもありませんでした。しかし畑をやるようになってからは目の敵のようにして取り除いていました。
畑でも2,3日すればいたるところからすぐに顔を出してくるスギナ。
なぜはびこるのか言うと、スギナは根茎が地中深く長く伸びるので、きれいに取り除くのは困難だからです。一度繁殖すると根絶するのはやっかいな雑草です。
春先のツクシは胞子茎と呼ばれるもので胞子でも増えますが、根茎でよく増えます。土の中の根は深く1メートルの長さにまで伸びているとも言われます。
それでも、地上部の緑色の棒状の葉で光合成をするので、その部分を気長に取り除いていけばいずれはなくなるようです。
しかし面白いことに、一度繁殖すると根絶するのはやっかいでも、スギナを栽培するのはなかなか難しいらしい。『雑草のはなし』(田中修・著、中公新書)に書いてありました。
私はツクシを生やすために、スギナを植木鉢で栽培することを何度か試みた。しかし、これが意外とむつかしい。いったん根を張ったスギナは枯らそうとしても容易に枯れないが、その根をはりめぐらせるのはなかなかむつかしいのだ。少しの水不足や肥料のやり過ぎで、簡単に枯れてしまう。
ともあれ、畑に出れば地上に出だしたばかりの緑の葉の部分を容赦なく取り除いていました。葉を引き抜いたときに地下部の根(正確には根茎)も長く引き抜けたときは案外気持ちいいということも付け加えておきましょう。
畑に30分もいればすぐにこれくらいにはなってしまう。
邪魔者扱いしていたスギナの見方が変わったのは、『健康茶の薬効図鑑』(船瀬俊介著・三五館)を読んでいてです。スギナ茶が載っているではありませんか!
日本では、1830(天保元)年、西洋薬物書の翻訳書である『新訂増補和蘭薬鏡』で紹介されている。
「内部諸部の潰瘍(ガン等)、糖尿病にスギナを用いる」
なぜ、糖尿病に?
スギナ茶の利尿作用が、肝機能を改善し、コレストロール値を低下させ、その結果、血糖値を下げるからである。
スギナの含有成分と効能として同書ではこう説明しています。
スギナの有効成分は、サポニンの一種であるエキセトニン、ケイ酸、ベータ―シトステロール。
マグネシウム、カリウム、カルシウムなどミネラルが豊富で、ナトリウムが少ないため、利尿作用が活発。膀胱炎に効果があり、肝臓の機能を高める。
そういえば、集めたスギナを父親が見て、食べるのか? と聞くので、これ食べられるの?? 本書を読んで活用法がはっきりしました。
スギナが栽培される時代が到来なんてことはないか。
スギナ茶の作り方
スギナも10月末になれば元気なさそうにはなっていました。もう少し早く活用法を知れば元気のある葉が使えたものを。
今回は地上に出だしたばかりの緑の葉の部分が短いものが多かったので、採るのに15分ぐらいはかかったかもしれませんが、スギナの元気のいい時期に成長させて大きくならせてから採るようにすれば全然楽に大量に採ることができでしょう。
本書を参考にスギナ茶を作ってみました。根(根茎)にも薬効があるようなので、そのまま使います。畑で15分ほどで採ったスギナで15gほどの茶葉ができました。
土が付いたりしているので、ざっと水洗いする。
4~6日天日干しにして緑白色にする。何日かするとかんばしい匂いがしてきた。
ハサミで1cmほどに切り密封容器にて保管。15gほどできあがる。
5~10gに水600㏄が目安。今回は10gで試してみる。
葉をそのまま入れて濾すのも面倒なのでお茶パックを利用。水を加え沸騰させる。2~3分煮て火をとめる。
熱湯で長時間煎じると有効成分のケイ酸が消滅するので注意だそうです。
1日3回に分けて飲む。作り置きはしない。
お世辞にもうまいとは言えませんが健康に良さそうなお茶としては許容範囲のレベルです。でもちょっと葉が多すぎたので、もう少し少なめでもいい感じです。ぬめりを少し感じます。
ちなみに嫁さんは、一口して、まずゥ
確かに薬茶を飲んでいる感じもします。急須で茶葉を入れて飲みましたが、そのほうが飲みやすい。他の雑草茶とブレンドしてマイルドに仕上げてもいいかもしれません。薬茶とするよりも健康茶のようにしたほうが長く付き合えそうです。