生ゴミを土にかえす

公開日:2022年7月10日 更新日:

昨年の12月から畑の隅に穴を掘って生ゴミを投入しています。以来、生ゴミはゴミ収集車で回収してもらう必要はなくなりました。生ゴミを天日で乾燥、透明な波板でも乾燥を促進、雨水の侵入を防いで悪臭の季節も乗り越えれそうです。

生ゴミを土にかえす
生ゴミを土にかえす

一人一日、1㎏のゴミを出しているとは

環境省が行った令和2年度における一般廃棄物(ごみ)の排出及び処理の状況等の調査結果によると、都道府県別で群馬県は一人当たり6番目のゴミの排出量になっています。

家庭や事業が輩出した一般廃棄物(ごみ)は、県民一人一日当たり990gで全国平均901gを大きく上回っています。全国平均が前年度よりも17g減っているのに対し群馬県は1g増加で、前年度のワースト9位から6位への(不名誉な)躍進です。

990gのうち「事業系ごみ」が219g、家庭からの「生活ごみ」が771gです。全国平均は事業系252g、生活系649gなので群馬県は生活系の改善の余地が大いにありそうです。

大半は可燃ゴミです。焼却施設に持ち込まれたゴミのうち、生ゴミが39%、紙や布類が30%、ビニールやプラスチックが16%、木類が10%となっています。

リサイクル率は全国平均が20%に対し群馬県は14.3%、県では「生ごみの排出抑制や紙・布類の再資源化の推進など、一層のごみ減量化が必要」と、たとえば、生ゴミの堆肥化の推進をうたっています。

ところで、生ゴミのみならず、紙や布類、木も有機物資源です。これをなんとかして肥料化できないかということで1931年のフランスでは機械化されたゴミの堆肥化処理施設がつくられています。わが国でも戦後になって堆肥化処理施設がつくられるようになります。1960年代に建設ピークをむかえその後どんどん成長したかと思いきや衰退の一途です。

理由は簡単で、いろいろな種類のゴミを集めてから、それを選別しようとするからです。99%うまく選別できたとして、それを利用して堆肥化しようとしても、その中にヒ素やカドミウム、水銀など重金属が含まれていたら元も子もなく使えません。まさに分別できれば資源で、混ぜればゴミです。

『土と堆肥と有機物』(松崎敏英・著、家の光協会)には、「1920年(大正9年)の一人一日当たりのゴミの量は25gだったという記録があります」と出てきます。出典はわかりませんが、100年の間に40倍に膨れ上がったということになります。ゴミの量だけでなく、中身も使われている素材も変わってきています。ともあれ、一度集めたものを完璧に選別するというのは、普通に考えても無理があります。

なので、きちんと分別した後のものを堆肥化するプラントは有効です。こうしたプラントメーカーになっていった創業者が書いた『バクテリアを呼ぶ男』(葉坂勝・著、地湧社)は機械的に生ゴミを堆肥にしていく過程がわかって参考になりました。

わが国では、堆肥化処理施設は欧米よりも遅れていましたが、ゴミの農業利用に関しては進んでいました。江戸時代には人糞など肥料芥(芥・あくたはゴミのこと)として流通しそれが農家で利用されていたという話は有名です。

江戸時代のように集めて流通させても危なそうなものが混入することはなさそうですが、今は集めれば集めるほど危ないものが入りそうです。きちんと分別できるかどうかは、家庭や、たとえば牛舎など一番最初の排出元にかかっていますが、分別といわず、自分で出した生ゴミは自分のところで堆肥にしてしまえれば一番スッキリです。

堆肥化の前に、生ゴミを土にかえすところから

人糞はまだまだ先として、そして堆肥化も少し先として、まずは生ゴミの処理をスムーズにです。

生ゴミ処理と言えば、コンポストです。

田舎ではどこでも釣り鐘型のコンポストをよく見かけます。よく見かけるというよりは、ほとんどの家庭が一つは敷地内かどこかに設置しているのではないでしょうか。が、残念なことにうまく活用しているという話はあまり聞きません。放置状態のものも多いような気がします。

放置の原因は、コンポストをゴミ箱代わりに使っていて、虫が寄ってきたりの不快感と悪臭で近寄らなくなってしまう、というところでしょうか。そもそもコンポストとは堆肥のことであるにもかかわらずです。

堆肥というと敷居が高くなります。が、このことは頭に置きながらも、まずはゴミ箱にしないように生ゴミの処理です。

悪臭は、養分が多く分解しやすいものほどすごくなります。とくに水分が多く、空気が少なくて好気性微生物が窒息してしまうような環境で強烈です。

とすると、養分をうすめ、水分を調整、空気を通すというのが解決策です。

養分をうすめるというのは、たとえばワラなんかを一緒に入れておくとかですが、ここではそれはおいといて、水分の調整と、空気を通す方法を試みます。

肝は、生ゴミは水分が異常に多いので水分をいかにうまく管理するかです。どうやって乾燥させるかです。

昨年末から生ゴミを土にかえす試みを始めました。以来、生ゴミはゴミ収集車で回収してもらう必要はなくなってきたし、悪臭の季節も乗り越えれそうなので書き留めておきます。

  • 昨年12月、第一回目の生ゴミ投入穴を畑の隅に深さ30cmほどで掘る。冬で悪臭は気にならないが、生ゴミを入れたら土を少しかけておく。次第に穴がふさがりだし山ができてくる。そして、カラスに生ゴミにありかをかぎつけられて荒らされる。
  • 今年3月、第二回目の穴は深さ50cmほどで少し大きく掘る。湿っている生ゴミもどしどし投入、少し土を入れる。投入後、波板で穴を防ぐ。雨が降ってくると穴に水が入るので雨が入らないように穴の周りを高くして周りに溝をつくる。
  • 波板を透明なものにする。畑に出ている時は、波板をはずして生ゴミを日干しにして乾燥させる。畑にいない時も透明な波板で穴の中は暖かく乾燥を促進。大きな生ゴミは投入後スコップで細かくする。あまり土もかけなくてもよくなる。虫や悪臭もそれほど気にならない。
  • 穴がだいぶふさがってきたので、今年6月、第二回目の穴と同じようなものを掘る。第二回目の穴は土をかけて踏みならしておく。
  • 第三回目の穴で、一度、大雨で穴に雨水が侵入。悪臭が立ち込める。再度生ゴミを乾燥させ土をかけておく。雨水が入らないように改造。
畑の隅に穴を掘り生ごみを投入:生ゴミを土にかえす

第三回目の穴。その上の部分は第二回目の穴のところで土をかけて踏みならした。

穴掘りして生ごみを投入。天日で乾燥させる:生ゴミを土にかえす

透明な波板で、畑に出ていない時でも乾燥促進。

第二回目の穴は、土をかぶせないで、雨が入らないようにしておけば、堆肥化がよりスムーズにできたかもしれません。好気性微生物が活動しやすいし、土で埋めたことにより嫌気性微生物が活発になり腐敗になってしまうかもしれません。病原菌が発生しやすくなるかもしれません。

まあそれでも、匂いはないし、いずれ朽ちていくだろうからよしとしましょう。雨を防ぐのも難しいし。なにより、ほとぼりがさめたころ1年ほどしてこの上に植物を育てれば立派な堆肥化を行ったとのと同じことです(時間は多少かかりますが)。

悪臭を封じ込め、生ゴミ処理がスムーズに行えるようになってきたので、生ゴミ処理に困ってもここに戻ってくるとして、いよいよ次の段階が堆肥化です。

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執筆者:有賀知道

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