果樹の栽培は苗木からやろうとすれば実がつくまで何年もかかりますので、手掛けるなら早いほうがいいですね。今年の春はイチジクの苗木を4本、ブルーベリーの苗木を20本ほど地植えしました。これらは、スズメバチの大好物でもあります。
春の時期に女王鉢を1匹捕まえることは、夏に一軍まるまる捕まえることと同じ
ブルーベリーを植え付けるのに先立ち近くのブルーベリー農家さんに話を聞きに行った際、『ブルーベリーをつくりこなす』(江澤貞雄・著、農文協、2014年)は読んどいたほうがいいよと勧められました。栽培だけでなく、スズメバチに占拠された時があって、どうしたものか、そのときに参考にしたのが、この本の中に出てきた対策だったと聞きました。スズメバチ、気をつけたほうがいいね、と。
じつは、私もこの本を読んでいましたがすっかり内容は忘れていました。言われて読み返してみて、たしかに書いてあります。
一般にはスズメバチが問題になるのは、収穫期の夏場であるが、夏場に大量に殖えた働きバチを退治しても手遅れである。春先にまず、女王バチを抑えておきたい。
何しろ、春の時期に女王バチを1匹捕まえることで、大きな巣を築かせずにすむわけで、夏に一軍まるまる捕まえることと同じ、ということになるのですから。危険を冒して蜂の巣を除去みたいなことはしなくてもすむわけです。
ブルーベリーは植えたばかりなのでまだスズメバチが近寄ってくるわけではありません。でも、なんでスズメバチの話かというと、昨年、家のすぐ近くにスズメバチの巣が分からないところに築かれていて刺されはしなかったが危ない目にあったし気が気でなかったからです。今年は何とか対策をしないと、と思っているところでした。
うちの目と鼻の先にある村の施設にスズメバチが巣をつくって立ち入りが禁止になっているところ。
それはさておき、同書によると、女王蜂捕獲のやり方は、リンゴ酢、梅酢、ブドウ酢を混合させた誘引液で呼び寄せて水没させるというやり方です。トラップですね。
私も今回、4タイプで7か所でトラップを設置してみました。酢はうちの奥様が運よく作っていたので、それを(いやがられるのを知らんふりして)頂戴させてもらいました。
まだブルーベリーやイチジクへの攻撃までは時間があるので、手持ちのものでつくった誘引液でどういうものが一番効果があるか試してみることに。設置場所が違うので厳密には比べられないが、大まかな順位予想は以下です。
- リンゴ酢と梅酢の混合液
- リンゴ酢
- リンゴ酢と梅酢と柿酢の混合液
- リンゴ酢を作った際に使ったリンゴの固形物に水を入れたもの。
一番ありがたいのは、4の固形物。これだと作るのが簡単。量もかなり確保できる。今回も大盤振る舞いで4か所に設置。
4月4日の設置です。
スズメバチの女王蜂のトラップのつくり方
- スズメバチが落ちた後、登ってこられないようにツルツルしたペットボトルを用意
- スズメバチが入る口をつくる。大きすぎると逃げ出すこともあるので小さく。
- 4,5cm液を入れる。水没できるぐらい。多くてもいいが、液がもったいない。
- フタをして、吊るせるように針金でしばる。
- 広々とした場所に吊るす。
- ペットボトルの劣化や捕獲しすぎたら、ペットボトルを変えて液をつぎたしながら再利用。
本では2リットルのものを使っていたが、うちは炭酸水のものがおおくあるので1リットルのこれで。
まずは家の入口に設置。リンゴ酢+梅酢+柿栖。
畑の端に。『ブルーベリーをつくりこなす』には広々とした場所に吊るすのがいいと書いてあった。リンゴ固形物+水。
3種類でどれがどれが一番いいかな。リンゴ酢、リンゴ酢+梅酢、リンゴ固形物に水。わりと作りやすいもの3つで比較。
果たして結果は?
5月10日にスズメバチの女王蜂の水没を確認!
リンゴ酢でした。
4月4日設置、野天に吊るしてあって時間が経つにつて液が蒸発して少なくなるので、途中、水を付けたしてちょくちょく気にしていました。もっと早くに何匹か捕獲できるかなと思っていましたが、それほどでもなかったです。これで、また近くにスズメバチの巣ができてきようものなら捕獲作戦の練り直しです。
『ブルーベリーをつくりこなす』では、以前は日本酒や砂糖、ジュースを入れていたが今一つで、梅酢を入れだしたらちゃんと捕獲できるようになって、梅酢、ブドウ酢、リンゴ酢の三種混合にしたらてきめんに捕獲できる量が増えた、とあります。中身にもっと注意を向けるようにしたほうが良さそうです。
追記:捕獲したと喜んでばかりはいられなかった
《2023年6月12日記》
最近の朝の日課はキュウリとカボチャエリアにいるウリハムシの害虫パトロールです。朝は動きが鈍いので捕殺しやすいです。昼間だとすぐに飛んで逃げられてしまいます。
写真中央の少し上に金色に光っているのがウリハムシ。葉の丸い穴はウリハムシの仕業。
なんと、スズメバチはウリハムシを捕まえてくれるというではありませんか。ウリハムシとは直接書いていませんが、『身近な虫たちの華麗な生き方』(稲垣栄洋・著、ちくま文庫)にはこうあります。
最近では巣を見つけるとすぐに駆除業者がやってきて、すっかり嫌われ者のスズメバチだが、夏の間は、幼虫の餌にするために、田んぼや畑でせっせと害虫を捕らえている。昔の人はスズメバチを恐れながらも、スズメバチが田畑を守ってくれていることを知っていたのである。
スズメバチを捕獲したと喜んで記事にしている軽薄さがバレてしまいました。新しい女王だけが冬を越すというのも本書で知りました。