ニワトリを飼い始める少し前から、発酵飼料を作る準備をしていました。元種をつくるために米ぬかと腐葉土、落ち葉、それに水を投入して攪拌しました。2日ぐらいして材料が熱をもったとき、本当に熱が出るんだと感激したものです。堆肥作りとかで熱を出すようにするとはよく聞いていたわけですが、実際目の当たりにすると中で何かすごい変化が起きているのだろうと実感できます。今回5月に雛を迎えたときはまだ寒く保温電球で育雛箱の中を温めましたが、次回は発酵を利用した温床で雛を迎えることもできるかも、と企んでます。

発酵飼料をつくるのに用意しておいた、堆肥をつくるコンポスト。回転式なので空気を入れて攪拌できることを期待。
まったく初めてなのでエサ全部の材料を発酵させるまではまだ無理だろうから、生ごみや大量にあるイモなどを材料にしていこうとしました。投入のリズムなんかは何もなく適当に細かく刻んだりした材料を元種に放り込んでいました。米ぬかや水は随時投入しつつ、材料を入れるとまた熱が出てくるので大丈夫そうだ。
でも1か月もしたら怪しくなってきました。ときに匂うようになってきす。回転式のコンポストの内面、特に隅のほうは湿っていて材料がへばりついてます。虫が入らないように材料の投入口をネットで覆って開け放して空気が入るようにしたり、乾燥した切り刻んだワラなんかを入れたり、腐葉土を入れたりしてだましだましやってましたが、3か月ほどでこの回転式コンポストは次の適切な場面がくるまで登場はお預けです。
振り返ってみるに、一番最初の混ぜ合わせからが失敗でした。コンポストに、米ぬか、水を一度に大量に入れてしまったことです。少しづつ攪拌しながらやらないとうまくない。
今は、トロ箱やコンテナなどを使いつつ材料を手動で攪拌させて大量にあるサトイモなどを主に材料にしつつ発酵させています。作るリズムもでてきています。そうでした、サトイモ、生のままエサとしてやっても何もないときは仕方なしにこんなものしかくれないのかよという感じで食べてくれますが、発酵させたものになると食いつきがまるで違います。喜んでくれます。ほとんどの材料を発酵させた飼料にするのもそんなに遠くない感じです。
さて、これまでも発酵について漬物は試していました。漬け物作りは難しいのか、難しくないのか です。漬物は嫌気性の乳酸発酵で熱も出ません。飼料作りは好気性発酵ですので熱を出します。このあたりのことは再度言いますが『発酵―ミクロの巨人たちの神秘』(小泉武夫・著、中公新書、1989年)なんかで理解しておいてほんとよかったです。
なにせ、今後のテーマは発酵になる可能性が大です。
- 発酵飼料でニワトリを育てる。
- 鶏糞を発酵させて、発酵肥料にする。
- 発酵肥料で作物を育てる。
- 発酵に慣れてきたら発酵液肥で病害虫予防を試す。
- 畑や作物の残滓などを発酵飼料の材料にする。
発酵づくしです。しかも循環です。ほんとニワトリがきてから安心して作物が作れます。虫がくっついているもの、虫が食べて販売できないようもの、でかくなりすぎた野菜、大量にあるもの、何でも食べてくれます。作物に虫が大量についていてもニワトリのエサのために虫を楽に増殖しているんだと思えば腹もたちません。
ともあれ、発酵の技術を磨くのがこれからのテーマの一つです。
最新鋭のオランダ仕込みのハウス栽培における、そのデータ解析を請け負った知人がいます。もちろん内容は教えてもらえませんが、『図解でよくわかる施設園芸のきほん』(中野明正・著、誠文堂新光社、2021年)から想像するに緻密そのものでしょう。工場製品をつくるノリのデータ解析というところか。
これに対抗する必要はないのですが、うちがもし対抗するとすれば、発酵で対抗しようかと。工場の対極にありそうです。もっとも発酵も工場で制御する時代なので、そこはこの土地ならではの土着菌を利用してです。
なので、うちは発酵の元種には土着菌を最初から使っています。土着菌いいです。今後、体験自給農園、自給農園ワークショップ、自給農園民宿なんかするとき、発酵を隠れたテーマにしよう。
そのため、嫁さんは発酵食品ソムリエの資格をとるべく勉強中です。嫁さんの勉強に付き合わないといけない私としては、高校の生物や化学の教科書を取り寄せて基礎勉強に励まざるをえません。