田舎暮らしでは何かともらいものがあります。もらいっぱなしでは悪いので何かお返しをしないといけません。ちょうど、河内晩柑の訳あり品が安く売っていたのを見つけたので一箱購入しました。日頃お世話になっている人にお返しと考えていたのですが・・・。
色目が悪く、お返しものにできず
柑橘類といえば冬というイメージです。春先以降に出回るものが晩性の柑橘類ということで晩柑と呼ばれます。甘夏や八朔(はっさく)、伊予柑(いよかん)などがそうです。河内晩柑は、熊本県河内町で発見されたといことでこう名付けられました。
発見された? そうです、発見されました。河内晩柑は文旦の偶発実生(ぐうはつみしょう)です。偶然に発見された優れた形質(糖度が高い、種が無いなど)を持つ果樹のことです。人為的に交配されたものでなく、自然に落ちたり捨てられたりした種から育ったものです。
ともあれ、夏に柑橘類は珍しいので、日頃お世話になっている人にお返しです。(と自分の差配のように言ってますが、妻が見つけて自分のボーナスで買ってくれました)
しかし、7月上旬に商品が届いて中を見ると、腐っているものがあったり、色目も人にやるにはちょっと難しい感じです。7月以降に販売する(主にB品)ものの果皮には緑色の色目になることがあるようです(回青現象)。昨年に違うところで買ったときにはここまでではなかったので、ハズレです。お返しで使えそうもありません。
身内の人におすそ分けしたり、生のまま、ゼリー、ジャムにしましたが、まだ余っています。料理をしだしたころ『おもいっきり手抜き料理』で助けてもらった大原照子さんの『手づくりジャムと保存食』という本をパラパラめくっていたら、カードというものがあるのを知りました。
カード(curd)は、本来はチーズや豆腐を固める前のとろりとした状態のことをいいます。レモンやオレンジの果汁に、卵とバターをまぜたものがカードのようなとろりとしたクリーム状になることから、「カード」という名前でトーストにつけたり、お菓子のクリームとしてイギリスなどで親しまれています。
『手づくりジャムと保存食』 (大原照子・著)
これを参考にして試してみます!
河内晩柑カードの材料
- 河内晩柑3個
- 卵4個
- バター200g
- グラニュー糖200g
大原さんの本には、レモンカードとオレンジカードの作り方は載っていました。お湯でワックスを落として表皮も使うようになっていましたが、今回は表皮は使いませんでした。材料の分量も、ネットで見つけたグレープフルーツのカード作りなども参考にしてみました。
河内晩柑カードの作り方
- ボウルに卵を溶く。
- 晩柑を絞ってボウルに入れる。
- バター、砂糖を入れる。
- 弱火で30分、ゆるくとろみがつくまで湯煎する。
- こして粗熱をとる。
- 容器に移す。
湯煎にも使えるボウルでやれば、容器はこれ一つで完結。
晩柑を絞る。何ccかわかるように計量カップに入れていく。
絞った晩柑汁をボウルに投入。全部で400ccほどになった。
砂糖とバターも投入。バターは無塩のほうがいいかもしれない。
湯煎で30分ほど弱火でゆるくとろみがつくまで火を通す。
熱いうちに保存ビンに移す。完全に冷めたら、蓋をして冷蔵庫保存する。保存ビンは煮沸消毒しておく。
今回は、果皮は使わなかったので、こす作業はしませんでした。それでも、こせば、もっとなめらかになったでしょう。
翌日、パンに塗って食べたらバタークリームの晩柑風味という感じでした。 ヨーグルトに混ぜたり、カレーにも使ってみようと思います。
保存方法について
大原さんの『手づくりジャムと保存食』 には保存方法についても触れています。
正しい状態でびん詰めにし、冷蔵庫で保存すれば1年はもちます。冷暗所なら、冬場で2週間は保存できます。
保存の時間は、いずれもびん詰めにした状態で保存した場合です。一度ふたを開けると、空気に触れてしまうため、長くもちません。
ふたを開けたら早めに食べきることが必要ですので、作った量全部が入るような大きい保存びんに入れてしまうと保存がききません。いろいろな種類を少しずつ食べるためにも、小さめのびんに小分けして保存することをおすすめします。
冷暗所は、①風通しがよく涼しいこと、②光が通らないこと、③温度変化がほとんどないこと、としています。温度や明るさなど、保存の状態が一定でなくなると、カビが出たり、発酵したり、化学変化が起こったりしてしまいます。
冷暗所は、例えば地下室や床下、台所の流しの下などです。もっとも、現代の家では冷暗所が見当たらない場合も多いので、冷蔵庫での保存がお勧めと指摘しています。
ただ、果実酒やサワーなど、殺菌作用のあるアルコール類や酢で漬け込むものについては、冷蔵庫保存の必要はない、冷暗所でいいと言っています。