「日本人は平均すると地球を4分の1周運ばれた食料を口にしている」とは、『月3万円ビジネス』の中で著者の藤村靖之さんが言っていたことです。本当かどうか私には確かめる気も必要性もありませんが、(今はまったく当てはまりませんが)東京にいた時に近くの西友や業務スーパーで買っていたものを思い出すと、たしかにそうかもしれないな~ という感じはします。
しかし、それもじわじわと危うい状況です。11月27日21時放送のNHKスペシャルー混迷の世紀 「第4回 世界フードショック 〜揺らぐ『食』の秩序〜」をみて再確認しました。番組は、「世界から食料を輸入してきた日本は、今、危機に直面しています。」で始まる。
ロシア、ウクライナの問題のようなことが起これば、すぐに表面化してしまう自由貿易体制の危機というところでしょうか。食料の6割を輸入に頼る日本なんかは危機のど真ん中で右往左往です。世界の主だった食料生産国が、輸出規制を次々と打ち出す中、かつてのように金にものをいわせて食料をかき集める力もなくなってきています。
直接口に入る食料だけでなく、国内で食料を作るために必要なトウモロコシなど家畜のエサ、化学肥料、どれも輸入に頼りっきりです。しかも、穀物、肥料とも今年が史上最高値をつけるような高騰ぶりです。
その影響で例えば、養鶏会社では、トウモロコシなどの飼料代が生産コストに占める割合は6割にもなるそうですが、どんなに飼料が高騰しても、販売価格に見合うだけの上乗せができないともがき苦しむことになります。
はたまた、農業系のシンクタンクは、肥料価格の高騰がこのまま続き、値上がり分を補助する国の対策がない場合、コメ農家の93%が赤字に陥ると試算しています。
高騰の裏には、アメリカ・トウモロコシ農家の言っていたように「私たちはチャンスが来るのを待っています。市場が急騰する機会をうかがっているのです」という思惑があります。適切な値付けをしたいものだとは思っていますが、できるだけ高値で売りたい、という気持ちもわからなくはありませんし、批判できる人もそう多くはない気もします。
混迷度合いは増していきそうです。混迷は食料ばかりではありません。「世界から食料を輸入してきた日本は、今、危機に直面しています。」の「食料」は化学肥料、家畜の飼料ほか、「エネルギー」に変える事も可能です。そのほか、種子、医薬品、情報、研究、武器、技術、人材なんていうのも入ってくるかもしれません。
ともあれ、大状況を踏まえつつも、まずは自分に今できることからやるほかなしです。番組を見た後すぐに再確認も含め(自営自足で取り入れていこうとしていましたが)、次の項目をメモ書きにしました。
- 穀物の生産と保管を考えておく。小麦、イモ、豆。ゆくゆくは米も何らかの形で。栽培だけでなく、保管方法もしっかりしておかないとダメ。
- 化学肥料がなくても栽培できるようにしておく。そのうちに養鶏もしだしたりして、その辺にあるもので肥料づくりができるようにしておくこと。
- 動力がなくても畑を維持できるようにする。管理機や草刈り機も使うが、使わなくても維持できるような備えはしておく。鉈や鎌、大鎌など砥石で研げるようにしておくとか。ただ、今のうちは機械を使えば時間の節約効果や体力消耗を防げるので適宜使うようにする。
- 火を生活に取り入れられるようにする。
- 小食に慣れておく。
ちなみに、化学肥料が使えなくなると、世界の農産物の生産量は4割減少するという試算もあります、と番組で紹介していました。たしかに、スリランカで「国内の農業をすべて有機農業にする」という壮大な計画は失敗したということもあります。大きな単位でやるのは難しそうです。