最近の田舎では、「作物を作る」と「防獣柵を設置する」はセットと考えなければならない状況です。 防獣柵設置は、昨年の家庭菜園のに引き続き2回目です。今回は土壌が固くて支柱が打ちにくい所での設置になります。
防獣柵の肝は支柱をしっかりたてること
防獣柵作りは昨年の家庭菜園に続いて2回目です。前回は全長10m、今回は100mで10倍になります。
でも基本的な構造は前回と同じです。鹿とイノシシの害獣対策で家庭菜園に防護柵+防獣ネットを設置する。 です。
支柱がしっかりできるかどうかが防獣柵の生命線です。
これができれば構造もシンプルにそして費用も少なくてすみます。しっかりできないと、補強やら何やらで構造も複雑化、資材も増やさないといけません。
ただ今回は構造が同じでも、前回と全く違ったところがあります。土壌の固さです。前回やったように支柱パイプを「パイプヌキサシ君」ではまったく支柱が打ち込めませんでした。やけくそに支柱パイプをハンマーで上からたたいてもダメです。
支柱になるパイプを直接打つのをあきらめ、下穴をあけておく方式に変更です。
まず最初に試したのはカナテコバールです。ネットで調べていたら使えるという記事を見つけました。早速取り寄せです。バクマのカナテコバールで、直径25mm×長さ150cm、重さ約5㎏、持って移動させるだけでも疲れるほどの代物です! さっそく試しましたが、期待が大きかった分がっかり度合いも大きかった。ぜんぜん使えません。
しかし探せばあるものです。「下穴明け杭」(直径22mm、長さ80cm、重さ3.4kg)というのを見つけました。防獣柵をつくる関連で見つけたわけではないので、今回は最初からあまり期待しないようにしよう。
でも、はっきり言ってこれは本当に使えます!!
下穴明け杭、を使って支柱パイプを60cm以上打ち込む
流れとすれば、直径22mm下穴明け杭で最初に60cm~70cm下穴をあけます。支柱パイプは直径25.4mmなので多少窮屈になる感じです。そこで家庭菜園の防獣柵設置では大活躍した「パイプヌキサシ君」でまず行けるところまで打ち込んで、あとは、脚立に上ってハンマーでたたく、という流れです。
下穴明け杭を60cmほど打ち込んだところ。たいていの固い土壌でもいけそう。
ほかの杭でも打ち込むことはできるが、抜くのが問題。下穴明け杭なら横棒を通せて引き抜くのが楽、といっても土壌が固ければかなりの力はいる。腰を痛めないように。
下穴を明けたにもかかわらず、「パイプヌキサシ君」では下まで入らない。
脚立に上ってハンマーで上からたたく。けっこう怖い。
当初は家庭菜園の時も使った3mのパイプにしようと思いましたが、脚立に上って上からハンマーでたたく作業が怖そうですし、土壌も固いので2.5mにしようと思いました。5mのパイプを半分に切断してです。でも店に5mのものがなくて、5.5mを半分にして結局、2.75mのパイプになります。
これは正解でした。
下穴明け杭なら、下に固い石でもないかぎり打ち込めたからです。70cm打ち込んでも、2mの位置から防獣ネットを垂らすことができます。
ちなみに、パイプはコメリで購入した農業用直管パイプというものです。一番近いコメリは車で15分の下仁田店です。下仁田店では5.5mのパイプは取り寄せとか、電源は貸してくれるが切断機は持ち込む必要があり、軽トラの貸し出し(コメリ会員になる必要がある)です。
車で40分の富岡店は、下仁田店よりも大きく、購入時点ではパイプの在庫もあり、切断機も貸してくれ、1トントラックの貸し出しです。トラックは1時間無料、30分延長ごとに500円です。
富岡店で購入しましたが、1トントラックで、パイプとワイヤーメッシュをのせて運べたのはありがたかったです。2回使いました。一回目は大部分の資材を運び、2回目は完成間際に資材の数を確定させてから運びました。
あとは前回とほぼ同じ
支柱の打ち込み方が前回と一番違ったところで一番大事なところです。あとは前回とほぼ同じですが、以下のところが前回と違う点です。
- 支柱の間隔を2mではなく、1.5mにした。強度が上がる。支柱パイプの打ち込み作業のほとんどを先行してできる(人に手伝ってもらうような場合作業分担ができる)。ワイヤーメッシュは2m幅なので、2m間隔だと継ぎ目に気をついけないといけない。1.5m間隔でも調整させるところは継ぎ目に気を付ける必要はある。
- 防獣ネットではなく、防風ネットにする。防風ネットは防獣ネットよりも目が細かいので、シカの口がはいりにくいというアドバイスを受けて。ネットの素材も防獣ネットのほうが頑丈なので角などが引っかかった場合、構造ごと揺さぶられる可能性がある。その点防風ネットで破れてくれれば後の処置が楽。上部の防風ネットはパッカーと呼ばれる機具で留める。
- 防風ネットを地面に密着させるため、ロープとU型ピンを使う。
支柱は1.5m間隔にして強化。
足元はロープとU型ピンを使って固定。
出入口は、1枚のワイヤーメッシュを半分に切断し、観音開きに。
防獣柵の仕様と費用
主な仕様
- 支柱は、直径22mmの下穴明け杭で60~70cm明けて、そこに直径25.4mm、長さ2.75mのパイプを打ち込む。支柱は1.5m間隔にする。
- ワイヤー直径5mmのワイヤーメッシで頑丈に。
- ネットは、防風ネットとして、上部は1.5m、下部は1.2mのものを用意。上部はパッカーで留める。足元はロープとU型ピンを使って固定。
費用
農業用直管パイプ | 支柱にする。直径25.4mm×高さ5.5mのものを37本。1本1280円で計47360円。半分に切断して利用。コメリ富岡店。 |
ワイヤーメッシュ | 幅2m×高さ1mのものを51枚。ワイヤー直径5mm、重さ4.2㎏。1枚498円で計25398円。コメリ富岡店。 |
防風ネット | 上部:幅50m×高さ150cmを二つ。1つ3150円で6300円。コメリ下仁田店。下部:幅50m×高さ120cmを二つ。1つ5000円で10000円。高さ120cmのサイズはなかなかなく日本農業システム楽天店で購入。計16300円。 |
パッカー | 上部の防風ネットを留めるように。コーワパッカー、25mm、100個入。コメリ下仁田店取り寄せ。5850円。 |
番線 | 支柱パイプとワイヤーメッシュを結束する。ユニクロ針金18番、#18×110m・1kg、一つ545円を二つ、計1090円。コメリ下仁田店。 |
ロープ | 防風ネットを地面に固定させる。標識ロープ(コイル巻) 12mm×100mで3230円。日本農業システム楽天店で購入。 |
U字ピンとペグ | ロープを地面に固定する。ヘアピン杭・20cm・50本入りで998円。 V型ペグ6×300、110円を5個で550円。コメリ下仁田店。 |
クランプ | 出入り口に使う。直行クランプと自在クランプ2つづつ、計4個で950円。コメリ富岡店。 |
全部で10万2千円ほどほどになりました。南牧村はありがたいことに、防獣柵への補助金が出ます。上限10万円で75%もです。ありがたい限りです。自己負担が2万7千円弱ですみます。
追記:防獣柵のつくり方・完結編(ワイヤーメッシュ+防獣ネット版)
《2023年3月12日記》
これまで畑を広げるのにだいたい1年に1回のペースで5回、防獣柵を作ってきました。これまでのことを踏まえて仕様もだいたい決まってきたのでまとめてみました。防獣柵のつくり方・完結編(ワイヤーメッシュ+防獣ネット版)
上記の記事のつくり方で使えるものと使えないもの、必要ないものがありました。今では、支柱の間隔は2mにしています。ワイヤーメッシュはワイヤー直径5mmではなく、直径ネジレ4.5mmのものを使用しています。資材価格もどんどん上がってきているので、かなりの節約につながります。強度も問題ありません。
あと、全面を防風ネットにするのもやめました。目が細かい分、風の圧力も半端なく強くなります。支柱もグラつくほどです。実際グラつきました。最初見たときはシカにアタックされてグラついたのかと思いましたが風圧が原因でした。なのでいまは、防獣ネットにハウスバンドをはわせるというやりかたにしています。
防獣柵のつくり方・完結編 は、費用をなるべく抑えつつある程度堅固な防獣柵を作りたい人には参考になるところがあるはずです。興味のある方はご覧ください。