今年もコンニャク芋をいただきました。それで、思い出しました。冷蔵庫の奥に昨年作った荒粉があることを。生芋コンニャクは作ったが、荒粉・精粉からはコンニャクを作っていませんでした。
南牧村は群馬県内最初のコンニャク栽培地
昨年、コンニャク芋をもらったのを機会に生芋コンニャクを作りました。生芋こんにゃくをつくる。 たしかにかつては、コンニャク芋を生のまま、あるいはゆでて皮をむいてすりおろしたものを使うのが主流でした。しかしながら今ではコンニャク芋を薄く切って乾燥させ(荒粉・あらこ)、さらに細かい粉(精粉・せいこ)にしてから作る方法が主流になっています。この方法なら、一年中コンニャクを作ることが可能になります。コンニャクの産業革命と呼ぶ人もいます。
この革命は、1776年ころ、水戸藩(茨城県久慈地方)の中島藤右衛門の発見によりもたらされました。これにより水戸藩はコンニャク栽培を奨励し、コンニャクが藩の財政難を救ったとも言われています。
ちなみに、南牧村はコンニャクを群馬で最初に手掛けたところです。『北甘楽郡史』によると、室町時代(1505年)に南牧村の茂木和惣兵衛正峯が西国を巡遊し、紀州(和歌山県)からコンニャクイモ数個を持ち帰り、栽培を行ったのが始まりとされています。南牧村の南面傾斜地に自然生として栽培され、後に種いも貯蔵技術の発達とともに植玉栽培へと替わっていきます。精粉加工については、明治初期(1886年)に富岡市の篠原粂吉が加工技術を導入し、南牧村で麦つき水車を改良して精粉加工に着手したのが始まりと言われています。
さて、今年もコンニャク芋をいただきました。それで、思い出しました。冷蔵庫の奥に昨年作った荒粉があることを。生芋コンニャクは作ったが、荒粉・精粉からはコンニャクを作っていませんでした。
荒粉の作り方
こんにゃくは刺激が強く、素手で触れるとかぶれます。ゴム手袋をつけて作業します。
まずは、土を良く洗い落とす。亀の子たわしを使ってゴシゴシと洗うのが一番。
コンニャクの芽はエグ味が強い。この芽の部分はちょっと大きめに取り除く。
ちなみに、この取り除いた芽の部分を種に使うこともできます。切り取った部分をちょっと乾燥させてから、畑に植えると春には芽が出てきます。
縦方向に、5mmほどに切る。横方向に切ると串にさすときに割れやすくなる。
天日干し。日当たり、風通しの良い所で乾かす。
串にさすが、結構重たい。不安定なところに置いて一回落下させてしまいました。不安定な場所で乾かすようなら、安定したところで少し乾かして軽くなってからのほうがいい。
指ではじいてカンカンと音がするまで乾かす。写真は2020年のもの。
乾かしたものは、乾燥したところで保存。2020年のものは冷蔵庫に入れておいた。
荒粉からコンニャクをつくる。
今年いただいたものは、いま荒粉にするべく干しているところです。今回は、昨年の荒粉を使ってのコンニャクづくりです。
材料。荒粉重量に対し、加水量16倍、炭酸ナトリウム12%添加
- コンニャク荒粉50g
- ぬるま湯800ml
- 凝固剤(炭酸カルシウム6g、水50ml)
兵庫県立北部農業技術センターによれば、「荒粉コンニャク製造では加水量16倍、炭酸ナトリウム12%添加(いずれも対荒粉重比)である。食感のよい均質な製品とするため、ミキサー等による磨砕を丁寧に行う。」とあります。
精粉をつくる
ミルサーで荒粉を念入りに細かくする。
のりがき
精粉をぬるま湯に溶かしていく。一気に入れると玉になるので、少しづつ溶いていく。
ノリ状になるまでよく混ぜる。終わったら30分ほど放置する。
凝固剤(灰汁)入れ
凝固剤をつくっておく。炭酸ナトリウムは冷水では溶けにくいので温湯50mmぐらいで溶かしておく。
凝固剤を入れる前の練り込み。糸を引くような粘りが出るまで。10分位やっていい。けっこう力がいる。
凝固剤を一気に入れる。素早く混ぜながらよく練り込んでいく。できるだけ素早く。練り過ぎるとまとまらなくなってくるので、色むらがなくなるぐらいまで。
バットなどに入れてならす。手でも抑えて空気を抜くようにする。30分ほど放置。
灰汁抜き
コンニャクの上に少し水を入れ、包丁で適当な大きさ切り分ける。
大きな鍋でたっぷりのお湯で1時間ほどゆがく。保存する場合は、ゆがき汁につけておく。
兵庫県立北部農業技術センターによれば、「加水量を少なくすると製品の色調は濃く、硬く、色の官能評価は低下するが、硬さ、弾力性、味の評価は高くなる。加水量は16倍が適当である。凝固剤(炭酸ナトリウム)の添加量を多くすると製品のpHが上がり、色調が濃く赤くなり、軟らかくなる。添加量12%が総合的には適当である」とあります。
一般的なレシピでは、のりがきするときのぬるま湯の量がもっと多いので、かなり濃厚で弾力性のあるでき栄えになりそうかなと思っていましたが、そうでもなかったです。フニャフニャです。包丁で切り分けるときもそんな感じでした。精粉の仕方が甘かったのか、練り方なのか、分量のバランスなのか、はたまたコンニャク芋の状態なのか、乾燥の仕方なのか、、、
ともあれ、神奈川県の農業技術センターの品質機能研究課によれば、「炭酸ナトリウムで凝固したコンニャクは1~2週間以内に使ってしまいましょう」なので、荒粉はある程度の量を精粉にしておくが、10日以内で食べられる分量ぐらいでこまめに作っていきます。