『未来の年表』

公開日:2020年11月21日 更新日:

『未来の年表』(河合雅司・著、講談社現代新書、2017年)。『未来の年表2』(同、2018年)。
『未来の年表』(河合雅司・著、講談社現代新書、2017年)。『未来の年表2』(同、2018年)。

人口減少、日本でこれから起きること

読むほど暗くなる本です。年表という通り、少子高齢化と人口減少により今後どんな状況になりそうか年表形式で書いてあります。

  • 2020年 女性の二人に一人が50歳以上に
  • 2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」
  • 2025年 ついに東京都も人口減少へ
  • 2042年 高齢者人口が4000万人とピークに
  • 2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に

たしかに、〇〇予測の中でも人口の予測はもっとも精度が高いものでしょう。

たとえば、2024年の超高齢者大国には、「介護する側も要介護認定」「ダブルケアという深刻な悩み」というような状況の説明が付きます。これでもか、これでもかと深刻な問題が未来に起こってくるだろうと予想します。

人口予測は精度が高くても、それにともなって社会がどのような状況になってるかの話は幅を持って聞いたほうがいいでしょうが、それでも人口予測をもとにしての予想なので一読の価値はありそうです。

人口減少、日本であなたに起きること

『未来の年表』が出た後、著書のもとには「自分の日常生活で何が起こるのかを教えてほしい」とうリクエストが多くあったといいます。それに応えたのが『未来の年表2』です。

住まい、家族、仕事、暮らし、女性に起きることを取り上げています。ここまでの話になると、予想はさらに誤差が大きくなるでしょうが、自分がこれからどうしていこうかを考えるヒントも中にはあると思います。

処方箋や対処法も一応書いてありますが、自分を取り巻く状況から未来をイメージし対処法を今から少しづつでも講じるのが何よりです。対処法という言い方は、未来は困難と問題ばかりなので、それを避けるにはどうするか、みたいな感じになりがちです。悲観的に備えるけれども楽観的に対処したいところです。

高齢者の定義を変える

大変だ、大変だ、の話ばかりですが、日本を救う10の処方箋の中の「高齢者を削減」(『未来の年表』)はかなり救いになりそうな話です。

そもそも「高齢者」の厳密な定義はない。65歳以上と定義したのは19世紀のドイツの宰相ビスマルクだともされる。日本は、国連の高齢人口の線引きに準拠したという。

国連では、高齢化率(65歳以上の割合)が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」とされます。

この65歳を「75歳以上」に定義を変更する、という提案です。

高齢者の線引きを「75歳以上」へと引き上げてみよう。すると、2065年の高齢者の割合は25.5%にまで下がる。同時に現行14歳以下となっている「子供」の定義も「19歳」以下とする。いまや15歳で就職する人はごく少ないからだ。
この新たな年齢区分で、高齢者1人を何人で支えればいいかを計算し直すと、日本の未来は違った姿となる。団塊世代が75歳以上となる2025年は「3.7人で1人」と騎馬戦型社会を維持できる。65歳以上がピークを迎える2042年でも「3.2人に1人」だ。2065年は現在と同水準の「2.4人で1人」で、肩車社会は避けられる。
高齢者から外れる65~74歳の多くが働くのが当たり前の社会となれば、労働力不足も社会保障の財源問題も大きく改善することだろう。

現行の65歳以上高齢者の定義でいくと、2025年は「1.9人で1人」、2042年は「1.5人で1人」、2065年は「1.3人で1人」 となります。たしかに全然違います。

もっとも「75歳以上」は著者オリジナルな提案ではなく、「日本老年学会と日本老年医学会が合同で高齢者の定義を見直す提言」を踏まえてのものです。

近年の高齢者の心身の健康に関する種々のデータを検討した結果、現在の高齢者においては 10~20 年前と比較して加齢に伴う身体的機能変化の出現が 5~10 年遅延しており、「若返り」現象がみられています。従来、高齢者とされてきた 65 歳以上の人でも、特に 65~74 歳の前期高齢者においては、心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めています。また、各種の意識調査の結果によりますと、社会一般においても 65 歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が強くなっており、内閣府の調査でも、70 歳以上あるいは 75 歳以上を高齢者と考える意見が多い結果となっています。

高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言

このようなことから、65~74 歳を准高齢者、75~89 歳を高齢者、90 歳~ を超高齢者と定義を変更するよう提言しています。

楽木宏実・日本老年医学会理事長は日本人の若返りをわかりやすく説明するときに、漫画「サザエさん」のお父さんである磯野波平さんを例に出すことがあるそうです。

1965年12月16日掲載話のひとコマに、自分が54歳であるというセリフがあるが、日本では昭和初期から1980年ごろまでは55歳定年が当たり前であった。定年1年前の風貌と考えた時に、現在の日本の主な定年年齢である65歳と比較しても、現在の日本人はもう少し若返っている感じで、50年以上前との比較だけでなく最近の20年程度を見ても10歳程度は若返っているという科学的事実と一致するように思う。

楽木宏実・日本老年医学会理事長

楽木理事長は この寿命延長と若返りをもたらした要因は、国民の栄養状態の改善、公衆衛生の普及、医学の進歩などさまざまなものが考えられるとしながらも、今後も、この若返りの傾向を持続させ、いわゆる健康寿命の延伸を推進するためには、なぜ日本人は若返ったのかを理解した研究や活動が必要であると指摘しています。

念のため、ワーキンググループの提言での、提言に際し次の4つの留意点を挙げておきます。

  1. 社会保障制度と連携した議論は行っておらず、提言と制度とを直結する意図はない
  2. 75歳以上に対して社会的ラベルを貼ることが趣旨ではない
  3. 今回の定義は先進国の高齢化を念頭に置いた議論である
  4. 老化遅延の将来にわたる持続性は不明である

健康寿命(日常生活に制限のない期間)と平均寿命の差は2016年において 、男性が8.84年(72.14と80.98)、女性が12.35年(74.79と87.14)です。健康寿命、平均寿命ともに延びてきていますが、定義の変更には健康寿命で75歳を超えたいところです。

ワーキンググループの提言では「高齢者の身体能力の改善傾向が今後も続くかどうかは保証されておらず、あらためて、次世代への健康づくりの啓発が必要と考えています」で締めくくられています。

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執筆者:有賀知道

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